驚異のエージシューター田中菊雄の世界119 武藤一彦のコラムーエージシュート500回まであと2


 驚異のエージシューター田中菊雄さんのエージシュートは11月20日現在、498回を数えた。500回の快挙達成まであと2回だ。
 「11月中には500回の大台に乗せたいと頑張っている。今年は460回を過ぎた8月過ぎに右ひざの痛みでプレーを控える大ピンチにも見舞われた。9月から10月にかけては、季節外れの台風に邪魔されラウンドが思うようにできなかった。そんな中で目標とした500回が見えるところまできた。ホッとひと息です」と表情は明るい。

 

 ひざ痛に関しては「今だから言えるが、大ピンチだった」という。周囲に心配を掛けまいと家族にはかん口令がしかれたほどの重症だった。毎年夏に訪れる恒例の釧路遠征で右ひざ関節に痛みが出た。帰京して医者にかかると炎症がひどい。帰宅は車椅子に乗って帰る重症だった。もともと足は鍛えれば強くなると鍛えるタイプ。肩こりや筋肉痛があってもマッサージをするという習慣はなかったが、あまり治らないので進められるままにモモにマッサージを受けると、ウソのように痛みが薄らぐではないか。血流が良くなり痛みは引いていった。

 

 ピンチを乗り越えて今はっきりといえる。「エージシュートをやっていると皆さんの反応が2つに分かれているのが見えた。エージシュート?ばかばかしいという人とそれはすごいことだ、という意見にはっきりと分かれるのですね。人の価値観はそのくらい違うということだ。仲間によって価値観が変わってくるのなら,ヨシ、それなら徹底してやってやろう、と思いましたね」
 71歳で初めてやったエージシュートは78歳で年間16回、79歳28回、80歳50回。さらに81歳81回、82歳90回、83歳では125回と6年連続して年間記録を更新し続けている。そして、84歳の今年、11月20日現在84歳では97回を記録した。来年3月3日の誕生日まで丸3か月で年間記録125回を破ることができるかが焦点となる。500回?あとたったの2回だ。それは時間の問題であろう。

 

 前後するが、498回目は、“田中さんの庭“といわれるよみうりGCだった。清子夫人と筆者の3人でラウンド。その日は今年初めての木枯らしが吹きコースは堅く閉まって、特にグリーンの速さは隣接する、「日本シリーズJTカップ」の東京よみうりCCの高速グリーンを彷彿させたが、さらりと83、エージシュートに1アンダーで回った。名人にとって冬場のゴルフは得意中の得意である。低弾道、グリーン周りからパターのアプローチでチップインを狙う名手の季節到来。毎年、エージシュートは冬に量産されているのである。ゴルフはやってみなくては何が起こるかわからないなら、起こることが「吉」と出ることを期待して待つことにしようと思う次第である。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。84歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。