女王・鈴木愛「渋野、申のおかげで頑張ってこられた」ライバルに感謝


賞金女王を争った渋野(右)と握手する鈴木(カメラ・石田 順平)

賞金女王を争った渋野(右)と握手する鈴木(カメラ・石田 順平)

 ◆女子プロゴルフツアー メジャー最終戦・LPGAツアー選手権リコー杯最終日(1日、宮崎CC=6535ヤード、パー72)

 今季7勝の鈴木愛(25)=セールスフォース=が2年ぶりの賞金女王に輝き、2022年までの3年シードを獲得した。12位から出て6バーディー、2ボギーの68で回り、通算5アンダー5位。最大で約3817万円あった申ジエ(31)との差を残り3戦で逆転し、最後は渋野日向子(21)の追走を振り切り、獲得額を1億6018万9665円とした。

 68であがった鈴木は練習グリーンで吉報を待った。約40分後、ペ・ソンウの優勝で渋野のV逸が決定。その瞬間2年ぶり賞金女王を奪還した。「うれしいけどホッとした部分が大きい。今週初めて良いラウンドができて満足。自分が一番想像していなかった賞金女王」。1988年のツアー制施行後では不動裕理以来、日本人5人目の複数回女王となり満面に笑みを浮かべた。

 第1Rから3日間、不完全燃焼が続いた。「下から追われる怖さを感じ、不安だった。もしかしたら負けるのかな」。2年前よりも1週間が長く感じ、前夜はドキドキしながら眠りについた。過去に年間7勝以上の選手が賞金女王を逃した例はなく「意地でもそれはしたくなかった」と苦笑した。

 「あと18ホール。今さらあがいても仕方ない」。グリーン端にピンが切られていようが、ラフにこぼれようが、狭いサイドを攻めた。積極性が実を結び、9番から3連続バーディー。初日に風を読み違え、会見で“ダメ出し”したキャディーにも「絶対に賞金女王になって恩返ししたかった。ありがとうと言いたかった」と、ハグを交わした。

 19年を「山あり谷あり。濃い一年」と表現した。4月に都内でタクシー乗車中に交通事故に巻き込まれ、腰を負傷。その影響で5月のメジャーで棄権もした。左手のけがや体調不良に悩まされた9月末からは4戦を欠場。「練習してもうまくならない。ゴルフをやるのが嫌になった」。誰にも負けない練習量を誇る鈴木が1か月の休みを経て「かなり気持ちが変わった」。情熱を取り戻した復帰後は、3週連続優勝で一気に頂点へ。渋野、申のライバルたちに「2人のおかげで頑張ってこられた」と感謝した。

 来年は海外メジャー5大会に出場を予定する。逆転出場を狙う東京五輪については「すごく出たい気持ちはあるけど、あまり意識しない方が結果はついてくる」と言った。激闘からつかの間のオフに気持ちを切り替え「休みが取れたらディズニーランドに行きたい」と笑った。(岩原 正幸)

 ◆鈴木 愛(すずき・あい)1994年5月9日、徳島・三好郡生まれ。25歳。10歳でゴルフを始め、鳥取・倉吉北高2年時に中国女子アマ制覇。2013年にプロ転向。14年の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を大会最年少で制しツアー初V。通算16勝。得意クラブはパター。17、19年賞金女王。155センチ。趣味は料理。

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