渋野日向子、来年米ツアー本格参戦 松井秀喜氏から宮里藍さんへの金言継承


宮里藍さん(右)からお祝いの花束をもらい笑顔を見せる渋野(カメラ・生澤 英里香)

宮里藍さん(右)からお祝いの花束をもらい笑顔を見せる渋野(カメラ・生澤 英里香)

 女子ゴルフの昨年8月のメジャー、AIG全英女子オープン覇者・渋野日向子(21)が14日、都内で会見。飲料メーカー大手のサントリー(本社・大阪市北区)と所属契約を結んだことが正式発表された。2月から総額3億円の3年契約(金額は推定)で国内女子の史上最高額の大型契約となる。担当者は会見に一緒に出席した、同社所属で日米通算24勝の宮里藍さん(34)のように、“生涯サポート”を示唆した。

 42社121人の報道陣が見守る中、藍さんから渋野へ、バトンが渡された。日米24勝で、サントリー所属の先輩から花束をプレゼントされ「サントリー所属の渋野日向子です。契約の話をいただいた時はすごく光栄でした。藍さんのようになりたい」と目を輝かせた。

 同社は全英優勝後から所属契約をアプローチし、国内外の企業約40社の争奪戦を制した形だ。金銭面で上回るオファーをした企業もあったというが、関係者は「ゴルフ界を長年支援していただいている企業。金額よりサポート環境を選んだ」と語った。今年ホステスプロで出場する同社主催の宮里藍サントリーレディス(6月)に関しても、今後は出場義務が発生しない藍さん並の待遇という(藍さんは米に主戦場を移した06年以降で12回中4回出場)。早ければ21年に米に本格参戦する渋野にとって後押しとなった。

 サントリーは藍さんがプロ1年目の03年から所属契約を結び、17年の引退後も“生涯サポート”を続ける。担当者は「応援する気持ちでいっぱいですから、(渋野も)そうありたい」と、可能性に言及。自社商品のCM出演などは「これから検討する」と話した。飲料はアルコール類とソフトドリンク類がある中、渋野は21歳と未成年に年齢が近いため一定期間、酒類の契約は交わしていないという。

 会見では藍さんが、自身の米参戦前に言われたというプロ野球の巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏の金言を授かった。「自分の中で変えなくていいもの、変えるものがあり、(変える時は)タイミングが重要」というもの。藍さんは「自分の良さを殺してまでやる(合わせる)必要があるかというのは、海外に行くと感じる」と葛藤があったことを明かし、「今年2年目なので、まだまだ挑戦者であり続け、強気のゴルフを日本でも米国でも貫いてほしい」と助言した。

 また、義理堅い渋野は昨季所属契約で支えてくれた地元岡山のテレビ局・RSK山陽放送とはスポンサー契約を継続する。2月20日開幕の米ツアー、ホンダLPGA(タイ)が「サントリー渋野」の初戦となる。(岩原 正幸)

 ◆日向子に聞く

 ―所属契約を結んで。

 「ジュニア時代(10年)にサントリーレディスのスナッグ(簡易版)ゴルフの大会に出させていただいた。実は優勝しているんです。だからサントリーさんには縁を感じていました。ゴルフを通じてたくさんの方々に勇気や希望、笑顔を届けられるようにしたい」

 ―昨年のサントリーレディス(45位)の思い出。

 「ズタボロでした。すごく難しかった。藍さんの(ピン位置の)セッティングはかなり難しかった」

 ―(渋野から藍さんに質問する形式で)英語について聞くと、『笑顔と強気のプレーがあれば、だいたいのことは乗り越えられる』と太鼓判を押された。

 「どういう勉強をしたらいいか、分からないので(聞いた)。なんだか自信持っていけそうです」

 ―今季への抱負を。

 「東京五輪もあるので、選ばれるように。全英女子OPもディフェンディング(女王)として臨むので、いつも以上に気合を入れて。一試合、一試合気持ちを込めて頑張りたい」

 ◆所属契約 新聞や雑誌記事などに常に露出することから、プロゴルファーが結ぶ契約の中で用具使用と並び、高額とされている。自社CMへの優先出演権やオフのイベントへの出席など、年間数日の拘束日が設定されている。ただ、そうした“縛り”を嫌う選手も多く、男子は宮里優作、池田勇太、今平周吾ら所属契約を結ばないトッププロもいる。

 ◆主な日本人プロゴルファーの高額所属契約

 ▽丸山茂樹 トヨタ自動車と06年から3年5億円。

 ▽石川遼 パナソニックと08年から5年5億円。

 ▽松山英樹 LEXUSと14年から3年6億円。

 ▽上田桃子 ソニーと08年から3年3億円。

 ▽宮里藍 サントリーと07年から3年2億円。

 ▽横峯さくら エプソンと07年から3年2億円。

 ※金額はすべて推定

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