【2014年5月19日】女子ゴルフ界に「黄金世代」の元祖シンデレラガールが出現


2014年5月19日、全米女子オープンの出場権を獲得した橋本千里

2014年5月19日、全米女子オープンの出場権を獲得した橋本千里

 日本女子ゴルフ界に新星が現れた。日本初開催の海外メジャー、全米女子オープンの日本地区最終予選が愛知・東名古屋CC西Cで行われた。無名のアマチュア・橋本千里(当時ルネサンス豊田高1年)が、通算3アンダーでプレーオフの末、全米女子オープン出場権を獲得した。

 渡辺彩香、穴井詩、城間絵梨、一ノ瀬優希、アマチュア・野沢真央との6人で4枚の出場権を争うプレーオフ1ホール目。16歳の女子高生アマは夕闇迫る中、プロを相手に堂々のプレーを見せた。最後は1メートルのパーパットを沈め、初のメジャー切符をつかんだ。「ちょっとびっくりというか。でも、うれしいです」。大勢の報道陣に囲まれながら、あどけなさの残る笑顔をこぼした。

 地の利があった。1日36ホールで争う長丁場の予選。約3か月前、名古屋市内の自宅から車で40分ほどのホームコースでの予選初開催を知った橋本は「出てみよう」と決意。小学6年以降、年間30ラウンドして熟知しているコース。母・和己さんが「人生初めて」のキャディーを務めて精神面をサポート。比嘉真美子らトップ選手と同じ組で持ち前のショートゲームがさえ渡り、第2ラウンドは全体ベストスコアとなる67をたたき出して見せた。

 約1か月後。「女子の世界最高峰のメジャー」と呼ばれる、全米女子オープンでも快進撃は続いた。米国屈指の名門コースのパインハーストNo.2。グリーンの傾斜のきつい難コースに、身長151センチと小柄ながら正確で小気味の良いショットで立ち向かった。日本人アマ史上最年少&4人目の予選通過を果たし、通算22オーバーの68位となった。帰国直後、参戦した日本女子アマ選手権でも3位に入り、短期間で強烈な印象を残した「シンデレラガール」だった。

 14年4月、国内女子ツアーのKKT杯バンテリンレディスで15歳293日での史上最年少優勝&4人目のアマチュアVの快挙を成し遂げた勝みなみと同学年で、LINEでよく連絡を取り合う仲良しでもあった。

 橋本はその後も国内ツアーに参戦するなど、プロとしての将来も有望視されたが、15年に手首を痛めて長期休養。大学進学後も再び手首を痛め、18年にプロになる前に競技を引退した。1998年度生まれ。アマチュア旋風を牽引し、今や日本女子ゴルフ界を席巻する“黄金世代”の先駆け的な存在だった。(榎本 友一)

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