【記者の目】渋野日向子、リスクよりも後悔しない選択


渋野日向子

渋野日向子

 米女子プロゴルフ協会(LPGA)は20日、新型コロナウイルスの感染拡大でツアー大会の中止や延期が続いているため、選手の今季出場資格を来季に持ち越すと発表した。これに伴い、来季ツアーの出場資格を争う予選会は行わないことも決定。12月の最終予選会を経て、来季の米女子ツアーを目指す意向を表明していた渋野日向子(21)=サントリー=が来季、ツアーメンバーとなるには、5大メジャーなど今季残りの米出場試合で優勝するしかなくなった。

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 渋野は昨年8月の全英優勝後には米ツアーに興味を示さなかったが、同年秋に同い年の畑岡奈紗と試合で回ったことで気持ちに変化が生じた。だが、同11月の20年米ツアーメンバー登録は「もう1年、日本で経験を積んで、もっとレベルを上げて挑戦したい」と見送った。その後、青木翔コーチのもと、5大メジャー制覇の目標を掲げた。

 今春、東京五輪の1年延期決定後も「12月に米国の予選会を受ける方針は変わらない」(青木コーチ)と、米ツアーへ強い思いを抱いていた。五輪出場を考えれば、ポイントは高いが慣れないコースが続きリスクも高い米ツアーより、国内で続ける選択肢もある。それでも米ツアーを選ぶのは、挑戦して仮に失敗しても、引退する時に後悔は残らないという前向きな理由からだった。

 予選会中止により、来季米参戦の道が“狭き門”になってしまったのは確か。スポット参戦するメジャーや、国内開催のTOTOジャパンクラシック優勝は決して簡単ではない。ただ、先が見通せないのは全選手に当てはまる。ツアー中止の連鎖が続く中、今後もあらゆる状況を想定しながらベストな判断を下すしかない。(ゴルフ担当・岩原 正幸)

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