◆女子プロゴルフツアー ニトリレディス最終日(30日、北海道・小樽CC=6695ヤード、パー72)
ニトリレディスで2戦連続優勝を果たした笹生(さそう)優花(19)=ICTSI=を中学生時代に、代々木高にスカウトした同校ゴルフ部監督の吉岡徹治氏(57)が30日、同大会をテレビ観戦。杉並学院高監督時代に石川遼を育てた名将は「遼以来の衝撃でした」と当時を振り返った。(取材・構成=岩崎 敦)
笹生の快挙をテレビ画面越しに見届けた吉岡氏は、感慨深そうに祝福した。
「難しい小樽で、しかも雨。このスコアは素晴らしいと思います。彼女を日本に連れて来られて良かった」
アジア・ジュニアゴルフ協会の代表理事も務める吉岡氏は、教え子を連れてタイのジュニア大会に出場した2016年、フィリピンから参加していた中学生の笹生と出会った。
「とんでもない選手でした。初めて遼を見たときの衝撃に近い。ぜひ日本に呼びたいと思いましたね」
当初は米国の大学進学を目指していたが「日本で勝ってからでもいいんじゃないか」と勧め、通信制の代々木高へ入学が決まった。技術指導はコーチを務める父・正和さんに任せ、プレー環境を整えることに注力。弾道測定器「トラックマン」などの豊富なデータを提供してサポートした。
「フィリピンにいながらオンライン授業を受け、数か月に1度は日本に来てゴルフ部の活動に参加していました。最初は日本のグリーンやコースに慣れず取りこぼしもありましたが、徐々に力を発揮してきました」
経験を積ませるため在学中は米国、中国、オーストラリアなど世界中の大会に出場させた。日本のプロツアー主催者にも「すごい選手がいるから出させてほしい」と掛け合い、17年のサントリーレディスでベストアマに輝いた。首位発進したNEC軽井沢72の初日後には、石川から「笹生さん、すごいですね。世界レベルのスイングだと思います」というメールが届いた。
「彼から女子選手に関するメールが届いたのは初めて。それほどの衝撃だったのでしょう」
アジアで発掘した才能の伸びしろは計り知れない。
「彼女は日本の緻密さとアジアのダイナミックさが融合したハイブリッド型の選手。これからも活躍を期待しています」
◆吉岡 徹治(よしおか・てつじ)1962年10月8日、宮崎・延岡市生まれ。57歳。東京学芸大を卒業後、2004年に杉並学院高ゴルフ部監督に就任。08年に退任してジュニア育成のクラブチームを主宰。物理の教員を務めた経験を生かしたデータ分析が得意。主な教え子は石川のほか薗田峻輔、浅地洋佑、青木瀬令奈、柏原明日架ら。