◆男子プロゴルフツアー フジサンケイクラシック最終日(6日、山梨・富士桜CC=7566ヤード、パー71)
単独首位で出た2018年大会覇者の星野陸也(24)=フリー=が5バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの70で回り、通算9アンダーで並んだ堀川未来夢(27)=Wave Energy=とのプレーオフ(PO)を3ホール目で制した。昨年6月以来のツアー通算3勝目。10月の米男子ツアー、ZOZOチャンピオンシップ(22~25日・米カリフォルニア州シャーウッドCC)の出場権を2年連続で獲得。世界ランクも日本勢3番手に上がる見込みで、来夏の東京五輪代表入りにも意欲を燃やした。
日本の若き大砲・星野が、ツアー屈指の全長を誇るモンスターコースで、石川遼以来2人目の複数回優勝を遂げた。約8か月ぶりの今季2戦目で多彩な球を打ち分けて唯一、4日間アンダーパーをマーク。20代の若手6選手が猛烈なV争いを演じた国内開幕戦で、2度目のPOで初勝利した。「(親交の深い)遼さんに少し近づけたかな。4、5勝目と増やして賞金王を目指して頑張りたい」。両親と初Vの感涙にくれた2年前とは違う達成感を無観客の富士山麓でかみしめた。
1打差の単独首位で出たが、7番で第1打を池に入れるダボで2位へ後退。それでも、パーオン率75%で今大会全体1位と好調だったアイアンショットで、12番で1・5メートルにつけて伸ばして首位に並んだ。そして堀川とのPO。オナーの星野は「持ち味の飛距離で圧倒する」と今大会から投入した新ドライバーで300ヤード超えのビッグドライブを連発した。堀川を約20ヤード引き離して重圧をかけ続けた。3ホール目。5メートルのバーディーパットを沈め、笑顔で右拳を突き出した。
コロナ禍で外出が制限される中、卓球台を購入した。中学まで卓球部だった24歳は、自宅でできるピンポン球を使ったアプローチなどの練習に没頭。身長186センチながらパットもうまく、器用さも併せ持つ。「手首の使い方とかゴルフに通じる部分がある。すごく良いんですよ」と明かした。さらに、米大リーグ・エンゼルス・大谷翔平投手(26)の打撃フォームをYouTubeで研究。「スイング改良の参考にした」と将来の米ツアー参戦も見据え、旺盛な向上心を持つ。
ツアー関係者によると、世界ランクは100位前後まで浮上する見込み。日本勢3番手となり、来年7月に延期された東京五輪代表入りの可能性も膨らんできた。「ぜひ出場したい思いはあるので、ここから頑張っていきたい」と五輪初出場への強い思いも語った。ZOZO―の出場権も手にして「米ツアーのトップ選手の中でどこまで通用するか。しっかり活躍できるように頑張りたい」と星野。アメリカの大空に大谷にも負けない“ビッグフライ”を描き、世界を驚かせる。(榎本 友一)
◆ゴルフ東京五輪への道 男子は21年6月21日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイント上位60人が出場権獲得。〈1〉15位以内は各国・地域で最大4人〈2〉16位以下は〈1〉の有資格者を含み最大2人が出られる。男子は7月29日から4日間、埼玉・霞ケ関CC東Cで72ホールストロークプレーの個人戦で競う。16年リオ五輪で初出場した日本勢は男子が池田勇太21位、片山晋呉54位。女子は野村敏京4位、大山志保42位だった。
★星野 陸也(ほしの・りくや)1996年5月12日、茨城・友部町(現・笠間市)生まれ。24歳。6歳からゴルフを始める。2015年に水城高から日大へ進学も、2年で中退し16年にプロ転向。17年からツアーに本格参戦して賞金ランク31位でシード権獲得。19年ダンロップ・スリクソン福島オープンなど通算3勝。愛称は小学生時代から親交がある石川遼が名付けた「リッキー」。186センチ、76キロ。家族は両親と姉、妹。
★星野の優勝用具
▽1W=スリクソンZX7(ロフト角9.5度、シャフト45インチ、硬さX)▽3W=テーラーメイド・M2▽5W=スリクソンZ―TX▽3I=スリクソンZ585▽4~9I、PW=スリクソンZ945▽ウェッジ50度、58度=クリーブランドRTX3▽パター=キャロウェイ・オデッセイ・ホワイトライズ♯3▽ボール=スリクソンZスター XV(3W、パター以外は住友ゴム工業社製)