◆女子プロゴルフツアー メジャー第1戦・日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯 最終日(13日、岡山・JFE瀬戸内海GC=6640ヤード、パー72)
2打差4位から出た永峰咲希(25)=ニトリ=が5バーディー、2ボギーの69で回り、通算12アンダーで逆転でメジャー初優勝を飾った。2018年4月のフジサンケイクラシック以来、約2年半ぶりの2勝目。昨季は賞金ランク45位とシード喪失の危機で若手台頭の波に押されていたが、プロ7年目の苦労人が「女子プロ日本一」の称号と3年シードを獲得した。
ビッグタイトルをつかんだ永峰は意外に冷静だった。メジャー初優勝の瞬間は「プレーオフもあると思い、ただ終わるのを見届けていた」。周囲からの祝福でようやく表情が緩んだ。強風のリンクスコースを攻略し「ショットに自信を持って戦えた。自分に向いていると実感し、4日間楽しかった」と笑顔を見せた。
1番で7メートルを沈め、勢いに乗ると前半で3バーディー。首位を走るペ・ヒギョン(韓国)が8番でダボを叩き、トップに並んだ。10、11番の連続バーディーで一時は後続を3打リードしたが、今度は「優勝を意識した」と12番、16番で3パットのボギー。「自滅するんじゃないか…。緊張で、いっぱいいっぱいだったが、どうにか気持ちで逃げ切れた」。気持ちが揺れ動いた18ホールを終えて安どした。
未勝利だった昨季は賞金ランク45位でぎりぎりシード圏内(50位以内)を死守した。98年度生まれの「黄金世代」や、今季に入ってからは2000年度生まれの「ミレニアム世代」、笹生優花(19)を擁する「21世紀世代」の活躍に押されていた。「25歳は若手ではない。中堅かと聞かれると、難しい年代」と言う一方、「私たちの世代も頑張っている」とプライドを見せた。
柏原明日架、堀琴音ら14年のプロテスト合格組では控えめな存在だったが、18年のツアー優勝、今回のメジャー優勝と、いずれも世代一番乗りだ。「良い刺激をもらった。何歳になっても良い関係を築けている」と同期に感謝した。コロナ禍で今年は家族のコース内への入場はできないが、ホテルと会場の送迎などで支える母・香奈子さんにも「感謝といい報告をしたい」と思いやった。
大会歴代優勝者は樋口久子、岡本綾子、不動裕理、宮里藍、最近では鈴木愛、畑岡奈紗らそうそうたる選手が名を連ねる。永峰は「身が引き締まる思い。この大会の優勝がどれだけ大きなことか肝に銘じて、常に上位で戦える選手になりたい」と上を見据えた。(岩原 正幸)
◆永峰咲希(ながみね・さき)
▼生まれとサイズ 1995年4月28日、宮崎市生まれ。158センチ、58キロ。家族は両親。
▼戦歴 小学4年からゴルフを始め、宮崎日大高2年時に全国高校選手権を制覇。3年時に日本女子アマで8強。14年夏のプロテストに一発合格。15年から毎年シード獲得。
▼母のおにぎりが支え 「昨年まではハーフターンでもらっていたけど、今年はキャディーバッグに入れるので、潰れないようにケース入りで」
◆永峰の優勝用具 ▽1W=SIM MAX(ロフト角9度、長さ45インチ、硬さS)▽3W=SIM MAX▽3UT(19度)、5UT(25度)=SIM MAXレスキュー▽6UT(28度)=GAPR Hi▽6~9I、PW=P760▽ウェッジ(50、54、58度)=ミルドグラインド2▽パター=トラスTB1 トラスヒールパター▽ボール=TP5(全てテーラーメイド製)