◆米男子プロゴルフツアー 第120回全米オープン最終日(20日、米ニューヨーク州ウィングドフットGC)
5打差4位から日本男子初のメジャー制覇を目指した松山英樹(28)=LEXUS=は、1番でダブルボギーをたたくなどショットが不調で1バーディー、7ボギー、1ダブルボギーの78と崩れ、通算8オーバーの17位に終わった。コロナ禍で肉体改造を遂げたブライソン・デシャンボー(27)=米国=が、規格外の飛距離を武器に2打差の2位からこの日最少の67をマーク。逆転劇を演じ、大会唯一のアンダーパーとなる通算6アンダーでメジャー初優勝を果たした。
5打差を追った得意のメジャー最終日。松山の31度目の挑戦は序盤で早々と幕を閉じた。メジャー最終日では自身2番目に悪い78。大会後、松山は西日を浴びながら静かに首を横に振った。「何もない。うまくいかなかった。疲れました」と、悔しさを押し殺すようにぶっきらぼうに話した。
最終組の1つ前。10年全英オープン覇者・ウェストへーゼン(南アフリカ)と同組で、スタートから緊張感を漂わせた。1番パー4。ドライバーでの第1打を左の深いラフに入れた。強い向かい風の中、残り29ヤードからのウェッジでの第3打はピン手前3メートル付近に落としたが、強い傾斜で約20メートル戻された。不規則な転がりを生むポアナ芝を読み切れず、3パットのダブルボギー。「ショットを修正し切れなかった」と、2番からもティーショットを左に曲げ続け、3連続ボギー。序盤4ホールで5つスコアを落とし、V戦線から脱落した。
安定したショットを軸に6バーディーを量産し、首位争いを演じた第3ラウンド(R)までとはまるで別人のようだった。「(約3年ぶりの優勝争いの)重圧は少なからずあった」と苦しげに明かすも、「それは言い訳でしかない」。バーディーは4・5メートルを沈めた6番だけ。前日72%だったパーオン率も39%に低迷し、「最後の方は自信を持って打てなくなってしまった」と漏らした。
17年全米プロ選手権の最終R後半に首位から5位に滑り落ち、「勝てる人になりたい」と号泣した。それ以来のメジャーでのV争いも、「(成長を)何も感じない」と、自己評価は厳しい。とはいえ、メジャー初Vに向けた意欲も変わらない。得意のショットに復調の兆しをつかみ、課題のパットとともに、「修正する力をつければ、優勝するチャンスも増える」と松山。優勝争いを積み重ねて自信を再構築して11月のメジャー、マスターズ(12日開幕・米ジョージア州オーガスタナショナルGC)で雪辱を期す。