◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第3日(5日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)
ツアー2勝の金谷拓実(22)=東北福祉大4年=が5バーディー、3ボギーの68で回り、通算5アンダーで2打差の3位となった。大学の先輩で米ツアー5勝の松山英樹(28)の助言も頭に入れ、最終日逆転で大会最年少優勝記録の更新を狙う。通算14勝の谷原秀人(42)=国際スポーツ振興協会=はこの日のベストスコア67をマークして3位へ浮上。大人気漫画「鬼滅の刃」が好きな息子へ、“全集中”して16年以来のメジャー2勝目を届ける。
悪条件の中、今週も自他共に認める“あきらめの悪い男”が優勝戦線に浮上した。寒さの増した後半、黄金ルーキー・金谷が得意の小技を見せつけた。10番パー4は、左がけ下の斜面からの第2打を1・5メートルに寄せて「奇跡的なパーセーブ」。12番はグリーン右手前15ヤードからウェッジでチップインバーディー。14番は4メートルのバーディーパットを沈めると、右拳を揺らした。
寒さと雨でショットが乱れても5打差7位から2打差3位へ浮上。「今日は、ショートゲームでカバーしていいプレーができた。明日につながるラウンドができた」とうなずいた。パット巧者は雨で重くなったグリーンに対応し、この日最少の計23パットだった。
アマチュア時代の19年に海外メジャー、全英オープンに出場。強烈な雨風と寒さの中でのプレーも経験した元世界アマランク1位は、我慢強いプレーが持ち味だ。2日連続で同組で回った石川は「例えるならジョーダン・スピース。感覚でプレーするのがうまいし、イマジネーション、精神面が長(た)けている」とメジャー3勝の米国のトップ選手に、金谷の姿を重ねた。
10月にプロ転向し、国内ツアーは7位、5位、優勝と3戦連続でトップ10入り。11月のダンロップフェニックスでプロ初優勝後、大学の先輩で14年の同大会を制した松山に電話で報告すると「さすがやなぁ~」とほめられ「うれしかった」と喜びをかみしめたという。今大会についても「フェアウェーが少し狭くて、グリーンは傾斜があって難しい」などと助言を受け、大会前の練習ではグリーン周りを徹底的に確認した。
4打差に7人がひしめく混戦だ。「(同い年の)小斉平君はすごく良い選手だし、米国で挑戦を続けていてプロのキャリアも長い。でも今週は、自分が良いプレーをして優勝を目指したい」と金谷。1998年度生まれの“黄金世代”の男子の先駆者が、大会最年少Vで日本のプロゴルファー生誕100周年の最終戦にその名を刻む。(榎本 友一)
◆松山英樹の2011年大会 アマチュアでは07年の石川遼に続き、史上2人目の出場となった。第1ラウンド(R)は69で首位と3打差の12位発進。第2Rは雨の中、71と耐えて5打差の11位に順位を上げた。3日目は悪天候で中止となり、54ホールの短縮競技が決定。最終Rは74と伸ばせず、通算4オーバー21位で終えた。藤田寛之が10アンダーで並んだ谷口徹とのプレーオフを2ホール目で制し、大会連覇を果たした。