驚異のエージシューター田中菊雄の世界140 武藤一彦のコラム


 エージシュートはついに700回の大台を越えた。12月19日、木更津GC、強風が吹き寒さ厳しくOBも出て苦しんだが、42,42の84、遂に700回を達成した。
 年令、85歳のエージシューターといえば、日本プロゴルフ協会のPGAシニアツアー、85歳の小針春芳が、06年「関東プロ・グランドシニア選手権」で84をマークしたツアー記録が今に残るエージシュートの最年長記録だ。小針は栃木県那須が生んだ名選手、“那須の小天狗”と呼ばれ、日本プロゴルフ殿堂入りした日本を代表するレジェンドの一人である。
 偶然は重なった。田中さんの年令もスコアもぴったり同じだった。プロとアマ、公式戦とプライベートラウンドの差はあるが、年令と同じスコアで回るを良し、とするエージシュートにプロアマの壁は関係ない。丈夫で長生きに加え年令と同じか、またはそれ以下ならさらに良し。夢のスコアを意識しての挑戦は人生をかけたゴルファー個人の闘いである。
 いまに残るエージシュートの最年長記録とタイ。立派な記録だ。ここは素直にはしゃがせていただく次第。
 田中さんがエージシュートを初めてやったのが2006年8月、71歳のとき。この12月で15年半に及んでいる。100回目は79歳、200回目は82歳だった。300回は83歳の6月、400回は84歳の誕生日を3日後に控えた19年2月28日だった。加齢とともにペースが上がった。84歳の秋500回、85歳5か月の今年7月1日、600回。そして700回がこの12月19日。600を達成してわずか5か月余で100回を上積みしたものである。
 「トシを取るたびに若返っていく実感がある。忘れもしない、84歳になって2か月後の5月5日、新潟の紫雲GCを35,37の72のパープレー、エージシュートに12アンダーンダー。トシを重ねるほどにエージシュートが出て、アンダーパー記録は12アンダーまで伸び自信となった。心技体を整えればエージシュートはいくらでもやれると生きがい。トシを取ることが楽しくなった」と笑う。それが豪語に聞こえないことが20年シーズンに起きたことは既述した。
 40ラウンド連続エージシュート記録である。同年8月2日から9月17日までの40ラウンドを、連続でエージシュート達成の離れ業。実に615回から654回までの40ラウンド、一回も失敗なくエージシュートを出し続けたものである。その歩みは年間のラウンド数でも実証されそうである。それは次回。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。85歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。