男子ゴルフの2021年メジャー初戦、マスターズは4月8日から4日間、米ジョージア州オーガスタナショナルGC(7475ヤード、パー72)で開かれる。昨年大会2位の任成宰(23)=韓国=は、日本ツアーを経由して、アジア勢初のマスターズ制覇を見据えている。
任のまん丸い顔に、見覚えのある日本のゴルフファンも多いだろう。韓国・天安高在学中にプロ宣言して、日本ツアーの予選会に出場し、16年から日本ツアーを主戦場とした。日本の牛タンが大好物で、2年間プレーをして17年には11月のマイナビABC選手権の2位を最高にトップ10に9度入り、賞金ランク12位で新人賞も獲得した。
18年から米下部ツアーに主戦場を移すと、2勝して同ツアーの新人王&アジア人初の賞金王に輝いた。翌年から米男子ツアーに昇格し、初シードを獲得。同年のプレジデンツカップでも世界選抜の一員に選ばれるなど、順風満帆なキャリアを歩んできた。そして20年3月のホンダ・クラシックで初優勝。韓国勢7人目となる米ツアーVを成し遂げた。
日本ツアーで戦っていた頃よりも体重は8キロ増え、見た目もゴルファーとしても一回り大きくなった。任と言えば、ゆっくりとした独特なテークバックが特徴の1つ。実は「日本ツアーで苦労していた時に、スローテンポのスイングに取り組み始めて、4年くらいになりますね」と明かす。
今季は18戦で3度のトップ10入り。フェアウェーキープ率は、ツアー全体7位の69・89%をマーク。穴の無いゴルフで、平均スコアは70・183でツアー21位。世界ランクはアジア勢最上位の18位につけている。
初出場となった昨年11月のマスターズ。大会前には、2004年大会で韓国勢歴代最高の3位に入った崔京周(50)=韓国=に、オーガスタの攻略法を尋ねたという。「ショットについて言うと、僕はストレートボールかちょっとのフェード。崔さんからは『君のショットのスタイルは、オーガスタに非常に適しているよ』と言ってもらいました」と振り返る。
そのレジェンドの言葉に背中を押され、快進撃を演じた。大会初の無観客での秋開催。大会初日に大雨が降り、グリーンが軟らかく、伸ばし合いの展開となった。得意のアイアンショットで積極的にピンを攻めて、最多24バーディーを量産。「シーズンを通じて不調だったパットがとても好調で、良いスコアが出た」と韓国勢では大会初の最終日最終組で回り、初出場選手では歴代最多アンダーパー記録の通算15アンダーもマーク。04年の崔京周の3位を塗り替え、アジア人大会史上最高の2位に入った。「予選通過が目標だった。2位は信じられない」とまん丸い顔をほころばせた。例年通りの春に戻り、限定数ながら「パトロン」と呼ばれる観客も戻ってくる21年大会。日本ツアー経由で、アジア人初のマスターズ制覇に挑む任のプレーに注目だ。
◆任 成宰(いむ・そんじぇ)1998年3月30日、韓国・清州市生まれ。23歳。6歳からゴルフを始め、ジュニア時代に韓国で数々のタイトルを獲得。天安高時代の17歳でプロ宣言して16年から日本ツアーへ。韓国体育大に進み、17年はマイナビABC選手権2位を最高に9試合でトップ10入り。19年に日本初開催の米ツアー、ZOZOチャンピオンシップ3位。米ツアー1勝。183センチ、90キロ。A型。