◆米男子プロゴルフツアー メジャー21年初戦マスターズ最終日(11日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC=7475ヤード、パー72)
松山英樹(29)=LEXUS=が日本男子初の海外メジャー制覇を達成した。歴代担当記者が独自の視点で松山を「見た」。
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2013年4月。松山のプロデビュー戦となった東建ホームメイトカップを見た。ギャラリーロープの外を一緒に歩きながら聞いた父・幹男さん(66)の言葉は松山英樹の本質の一端を感じることが多かった。
幹男さんは06年の日本アマにも出場したトップアマ。その大会で中学3年だった松山は父のキャディーを務めた。実はその1組後ろで同学年の石川遼がプレーしていた。「英樹は『俺と同い年のやつが出場している』とすごく気にしていた」と幹男さんは話した。普段は冷静だが、勝負師に求められる「負けず嫌い」の性質も持っている。
4歳の時、最初にゴルフを教えたのも幹男さんだ。「素振りを徹底的に教え、1年後に初めて練習場に連れて行った。最初の一発目から真っすぐで、きれいなボールを打ちよった。まあ40ヤードくらいだったかな。2時間の打ち放題で1200球も打ちよった。楽しかったのだろうな」と笑顔で語った。「ゴルフを楽しむ」それが何よりも大事だろう。
2時間打ち放題は1000円だったという。つまり、1打83銭。それから24年。278ストロークで優勝賞金約2億2770万を獲得した。単純計算で1打約82万円。100万倍近い価値を持つゴルファーになった。もちろん、松山親子の道のりは金額には換算できない。(02~05、13、18~21年担当・竹内 達朗)