◆米男子プロゴルフツアー メジャー21年初戦マスターズ最終日(11日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC=7475ヤード、パー72)
松山英樹(29)=LEXUS=が日本男子初の海外メジャー制覇を達成した。歴代担当記者が独自の視点で松山を「見た」。
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衝撃の告白と宣言だった。松山は昨秋のマスターズ最終日の後、テレビ局の取材に「少し苦手意識が出ている感じがある」と口にした。一方で「なかなか結果が出せなくてすみません。来年は必ず勝てるように頑張ります」。男子ゴルフ界を背負う責任感と覚悟の大きさに驚いた。
予想外の告白の真相は「グリーン上の違和感」だと聞き、納得した。15年から5年連続で現場取材したマスターズでは、高精度のアイアンショットで好機をつくり、優勝戦線に加わるも要所でパットが入らず…という展開を繰り返していたからだ。今年は新コーチとともに課題のパットをみっちりと改善してきた印象だ。
昨年12月。本紙の巨人・菅野との対談企画取材時には、「自分に勝手に重圧をかけすぎている。自信を持てるものがないから」と、17年8月から優勝から遠ざかる理由を自己分析した。ともに世界一を志す日本のエース2人は向上心の塊。高い理想やお互いに背負う重圧などを理解した上で、「もっと自分に優しくした方がいいよ」と菅野から助言を受け、松山が聞き入っていた姿が印象深く残っている。
その席で松山は「20代最後の年。早く(勝ち数を)動かして30代を迎えたい」とも話した。今年から左手首に体調コントロール用のウェアラブル端末をつけ健康管理も徹底。19年までのメジャーでは、勝利への渇望でピリピリした雰囲気を醸し出していた松山。だが今大会はボギーの後にも笑顔を見せていた。その変身ぶりに驚いたが自信を取り戻し、自分に優しくなった結果、“スマイル・キング”が誕生したのかもしれない。(13~21年担当・榎本 友一)