J・パグンサン 異例11本クラブ担いで優勝!43歳省エネセッティング


11本のクラブを入れたバッグを自ら担ぐパグンサン(代表撮影)

11本のクラブを入れたバッグを自ら担ぐパグンサン(代表撮影)

◆男子プロゴルフツアー ミズノオープン 最終日(30日、岡山・JFE瀬戸内海GC=7349ヤード、パー72=報知新聞社特別協力)

 3差の単独首位で出たジュビック・パグンサン(43)=フィリピン=が6バーディー、2ボギーの68で回り、通算17アンダーで日本ツアー初優勝を飾った。キャディーなしのセルフプレーで自らバッグを担ぎ、“超異例”クラブ11本のセッティングで3度目の全英オープン切符(7月15日開幕・ロイヤルセントジョージズGC)も手にした。2位の永野竜太郎(33)=フリー=も初メジャーとなる全英切符を獲得した。荒天で3日間54ホールの短縮競技のため、賞金加算は75%。

 前代未聞の“省エネセッティング”で、強風の吹き荒れるコースを制した。パグンサンは序盤で2つスコアを落とすも、中盤以降は得意の低い弾道のショットで風を攻略し、6バーディーを量産。3打差をつけて逃げ切った。14年に2位となった会場で「本当にうれしい。日本に来て10年かかっての初優勝なので。地元フィリピンと同じ風の強いコースで好きなんだ」と笑った。

 超異例のセッティングで注目を集めた。「ツアーで(14本までと決められている)クラブを11本でプレーしたのは今週が初めて」。国内男子ツアーではコロナ禍での感染予防のため、ハウスキャディーが使えない場合もあり、電動カートを押すセルフプレーの選手も多い。ただ、パグンサンは「カートはグリーン周りで遠回りしなきゃいけないから」と軽量バッグを担いだ。

 さらに今季自身3度目となったセルフプレーの“秘策”がクラブ11本だった。前週までからアイアンを3本抜いた。「7連戦だし、僕はもう年(43歳)なので軽くしないと。比較的合う距離が残ってラッキーだったよ」と陽気に笑った。おそらく世界主要ツアーでは最少クラブでの優勝。フィリピン人4人目の日本ツアーV、今季3人目のセルフプレー優勝者となり、12、14年に続く全英切符も手に入れた。

(榎本 友一)

クラブ本数規定Q&A 1本でもプレーできる?

 Q クラブは何本まで入れられる?

 A ゴルフ規則には「プレーヤーは14本を超えるクラブを持って正規のラウンドをスタートしてはならない」とある。罰は違反があった各ホールに対し2打。ただし1ラウンドで最高4打まで。

 Q 最低は何本?

 A 何本以上などの決まりはなく、14本未満のクラブでスタートした場合は、ラウンド中に追加も可能。14本の組み合わせは選手の自由で、14本以内であればドライバーやパターを2本入れることも許されている。

 Q いつから14本になった?

 A 諸説あるが、1859年の全英アマチュア出場選手が55本のクラブでプレー。たまりかねたキャディーがゴルフの総本山R&Aに訴え、「クラブの本数は1ダース+パター1本の計13本とする」とR&A理事会で決定。だが「13」は不吉な数字とされ、「1本増やして14本」となったという。1939年からゴルフ規則にも規定された。

 ◆ジュビック・パグンサン 1978年5月11日、フィリピン生まれ。15歳からゴルフを始め、フィリピンアマやタイ、マレーシアのアマ選手権などで優勝。2006年にプロ転向。07年アジアンツアーのインドネシア・プレジデント招待優勝。11年アジアンツアー賞金王になり、12年から日本ツアーに参戦。同年から8季連続で賞金シードを維持している。168センチ、62キロ。家族は妻と1男1女。

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