「ゴルフを辞めようと思った」笠りつ子が不適切発言騒動後としては初優勝 5年ぶり6勝目


笠りつ子

笠りつ子

◆女子プロゴルフツアー ヨネックスレディス 最終日(6日、新潟・ヨネックスCC=6435ヤード、パー72)

 第1日から首位の笠りつ子が3バーディー、ボギーなしの69で回り、通算12アンダーで完全優勝した。プロ16年目、33歳の笠は、2016年のニトリレディス以来、5年ぶりの通算6勝目。2019年のNOBUTA GROUP マスターズGCレディースの会場で大会関係者に不適切な発言をする騒動を起こした後としては、初の優勝となった。1打差の2位は三ケ島かな。3打差の3位は菅沼奈々だった。

 第2日を終えて首位の笠と2打差2位の三ケ島は、最終組で直接対決。ともに6番パー5、11番パー4でバーディーを奪い、それ以外のホールはパーを重ねた。12番まで全く同じスコアカードで2打差のままだったが、13番パー5で初めてスコアが動いた。2オンを狙った三ケ島がグリーン右まで運び、第3打を寄せてバーディー。差は1打に縮まった。17番パー4では第2打をグリーン手前に外し、第3打も寄らなかったが、3メートルのパーパットをねじ込んだ。

 ハイライトは最終18番パー5。三ケ島は2オン狙いでグリーン右に外したが、完璧なアプローチで「お先にバーディー」。その時点で通算11アンダーで2人は並んだ。笠は2オンに成功したが、イーグルパットは2・5メートルショート。それでも、執念でねじ込み、デッドヒートを制した。

 今大会54ホールでボギーなし。笠は、堅実なゴルフで5年ぶりの通算6勝目を飾った。この1勝は特別な勝利でもあった。2019年のNOBUTA GROUP マスターズGCレディースの会場で大会関係者に不適切発言をして大騒動となった。

 騒動後に関係者をはじめゴルフファンに謝罪し「ゴルフを辞めようと思っていた」と引退を考えたことも明かした。その後「強く優しい女性になれたら」と再起を誓った。

 大雨の中に見舞われた今大会の第1日、6バーディー、ボギーなしの66で回り、首位に立った。ラウンド後「自分と向き合って戦っていきたい。自分の心と戦って、自分に勝ちたい」と強調した。その言葉通り、笠は騒動を乗り越え、自分に勝った。

 ◆笠 りつ子(りゅう・りつこ)1987年11月4日、熊本・菊陽町生まれ。33歳。ゴルフ練習場を経営する父の影響で9歳からゴルフを始める。2006年に東海大二高(現東海大熊本星翔高)を卒業し、同年のプロテストに一発合格。10年に初シードを獲得。11年にニトリレディスで初優勝。16年には日本人最上位となる賞金ランク3位に入った。通算6勝。160センチ、58キロ。

 ◇笠りつ子の「不適切発言騒動」経過

 ▽2019年10月 NOBUTA GROUP マスターズGCレディース(24~27日)の週に会場で大会関係者に不適切な言葉を浴びせる。大会側はこれまでクラブハウス内の浴室にタオルを常備していたが、なくなることが多くなり常設を中止。理由説明を求めた際に不適切な発言をした。

 ▽同31日 「お詫(わ)びと今後の活動についてのご報告」と題した直筆の文面で当面のツアー出場自粛を発表。

 ▽同11月11日 LPGAによる懲戒諮問委員会と理事会が開催。

 ▽同12日 厳重注意処分を科され、3日間の新人セミナー受講が義務づけられる。

 ▽同16日 復帰を予定していたエリエールレディスを一身上の都合により欠場することを発表。

 ▽同20日 エリエールレディスの会場で行われた日本女子プロゴルフ協会による選手側への説明会に出席。その後「全ての大会主催者、運営の皆様、LPGA、選手の皆様、ゴルフファンの皆様に対し、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」と、深々と頭を下げ、涙ながらに謝罪した。「ゴルフを辞めようと思っていた」と一時は引退を考えたことも明かした。

 ▽同12月9~11日 日本女子プロゴルフ協会の新人セミナーに参加。熱心に受講し「(自分を)見つめ直す時間がありました。強く優しい女性になれたら」と再起を誓った。

 ▽20年6月 アース・モンダミンカップでツアーに復帰し、28位。

 ▽21年5月 ヨネックスレディスで復活優勝。

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