稲見萌寧、五輪出場が決まったから言える本音「めちゃくちゃ出たかった試合。気持ちを抑えていた」


資生堂レディスの会見で東京五輪代表入りについて笑顔で語った稲見萌寧(大会提供)

資生堂レディスの会見で東京五輪代表入りについて笑顔で語った稲見萌寧(大会提供)

 女子プロゴルフツアーの資生堂レディスは7月1日から4日間、神奈川・戸塚CC(6570ヤード、パー72)で行われる。28日付の世界ランクで11位の畑岡奈紗(22)=アビームコンサルティング=とともに、日本勢2番手の27位で東京五輪代表に決まった今季6勝の稲見萌寧(もね、21)=都築電気=が29日、会場内で大会公式会見に出席。五輪について「めちゃめちゃうれしい」と過酷な代表争いの裏側にあった胸の内を笑顔で打ち明けた。

 重圧から解放され、稲見に晴れやかな笑顔が戻った。前週の五輪代表争い最終決戦では今年16戦目で初の予選落ち。古江と渋野の結果を待って出場権を手にした。「もう、めちゃくちゃうれしいです。東京五輪はめちゃくちゃ出たかった試合。出たい気持ちを抑えて、言霊を信じて『意識していない』と自分に言い聞かせて毎週戦っていた。実は、皆さんをだましていましたみたいな(笑い)。初めてすっきりと本音を言えて、よかった」とリモート会見で打ち明けた。

 スポーツの祭典を「海外メジャーとは全然違う。自分のゴルフ人生だけでは収まらない。夢の舞台」と評した。夏季五輪では57年ぶり2度目の自国開催で、21歳は「生きている中で、一生に一度じゃないかなというくらい貴重な名誉だと思っている。楽しみたい気持ちが強い」とうなずいた。だからこそ、最後まで代表の座を争った渋野と古江について談話を求められると「何か難しいですね。それはちょっと。皆、仲良いので…」と言葉を濁した。

 “霊長類最強女子”に強い憧れを抱く。五輪アスリートでは、女子レスリングで3連覇した吉田沙保里さんを挙げ「王者という印象に残っている。格好良い女性アスリートの理想像」と話す。自らも昨年10月以降、6勝と圧倒的な強さを誇って五輪切符をつかんだ。周囲からは祝福の声とともに、金メダルへの期待も膨らむが「自分がベストを尽くして、いけるところまでいきたい」と話すにとどめた。

 日本女子ゴルフ界屈指の努力の虫。前週、昨年11月以来の予選落ち後も休まず体をいじめ抜いた。「悔しいんだったら練習とトレーニングで、これから先を頑張っていくしかないと切り替えられた」と笑った。この大会は19年には第3ラウンドまでV争いして9位となった。「一からリセットしてリスタートできる試合。また攻める気持ちを奮い立たせて、上位争いできたらいいな」。五輪代表として心機一転、再出発を切る。

 ◆稲見 萌寧(いなみ・もね)1999年7月29日、東京都生まれ。21歳。9歳でゴルフを始め、2016年にナショナルチーム入り。18年のプロテストに一発合格。19年7月のセンチュリー21レディスでツアー初優勝。正確なアイアンショットを支えに今年5勝を含む通算7勝。日本ウェルネススポーツ大に在学中。家族は両親。166センチ。

◆稲見、東京五輪までに国内ツアー5戦出場

〇…稲見は8月の東京五輪までに、国内ツアー5戦出場を明言した。新規大会の楽天スーパーレディース(7月29日開幕・東急グランドオークGC)は、4月から楽天とスポンサー契約する稲見にとっては、五輪前哨戦でもあり大事な一戦となりそうだ。一方、五輪会場の埼玉・霞ケ関CC東Cは、世界基準の距離と難度を目指して改修された17年4月以降「一回も回ったことがない。全く想像はつかない」。五輪直前の練習ラウンドで入念に確認する。

◆リザーブは古江と渋野  笹生はフィリピン代表

〇…日本ゴルフ協会(JGA)は29日、五輪ゴルフ代表にあたる「ナショナルフェデレーション(NF)」女子候補選手リザーブに、28日付の五輪ランキングを基に古江彩佳(21)、渋野日向子(22)ら5人を選んだことを発表した。また、国際連盟は同日、五輪出場権を獲得した女子60選手を発表。五輪ランキングで畑岡は11位、稲見は19位。笹生優花は8位で、母の母国フィリピンの代表となる。韓国勢は前回五輪覇者の朴仁妃ら4人が入った。

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