◆女子プロゴルフツアー ニッポンハムレディス 第3日(10日、北海道・桂GC=6763ヤード、パー72)
1児のママの若林舞衣子(33)=ヨネックス=が3打差4位で出てパットがさえて6バーディー、ボギーなしで、この日のベストスコア66をマーク。通算11アンダーの単独首位に浮上した。1988年のツアー制施行後、20年ぶり6人目となる“出産後初V”&4年ぶりの通算4勝目に王手を掛けた。初優勝&ツアー2組目の姉妹Vを目指すプロ8年目の堀琴音(25)=ダイセル=が68で回り、2打差の2位につけた。
ツアー史上最長のモンスターコースで、ママさん選手がリーダーボードを駆け上がった。若林は安定したショットに、今週好調のパットで単独首位に躍り出た。「久しぶりに自分に100点をあげたい。長いパットが入ってくれて、全体的にパットに救われた」と柔らかな笑みを浮かべた。
冷たい風雨の難条件下で、冷静に“大人のマネジメント”に徹した。「ピン位置が難しいのでセーフティーな方に打っていった」。2番で3メートルを沈めてバーディーを先行。3番は5メートル、5番は10メートル、9番で2メートルを決めて伸ばして首位に立った。数試合前からテーラーメイドのトラスシリーズのパターに変更。「(今季6勝の稲見)萌寧ちゃんにあやかりたいな」と、今季ツアーを席巻中の新兵器で好パットを連発した。
17年に会社員の夫・佳和さん(38)と結婚した。同年3月のアクサレディスでミセスV。19年4月に第1子の龍之介君(2)を出産し、昨年6月に復帰した。今週は都内の自宅で夫と愛息は留守番中。愛息の動画とテレビ電話が転戦中の癒やしだ。「毎日、主人か姉が動画を撮って送ってくれる。家族の協力なしでは、この場に立てていない。結果で恩返ししたい。ママはプロゴルファーですごいんだ、と分かってもらえるまで頑張ろう」と力を込めた。
女子プロゴルファーも最近、横峯さくら(35)やアン・ソンジュ(33、韓国)、大西葵(26)ら産休から復帰を目指す選手が増えている。「結婚と出産は大きな決断。帰ってこられると周りの選手にも見せていきたい」。20年ぶり6人目となるママさんVで、ツアーに新たな時代の到来を告げる。(榎本 友一)
◆若林 舞衣子(わかばやし・まいこ)1988年6月9日、新潟・加茂市生まれ。33歳。11歳でゴルフを始め、中学3年の03年日本ジュニア優勝。開志学園高2年の05年世界ジュニアで個人&団体の2冠。06年日本女子オープンでローアマ。07年にプロ転向し、08年のSANKYOレディースでツアー初優勝。11年から岡本綾子に弟子入りして通算3勝。家族は夫と1男。165センチ、60キロ。