この強靭なスタミナは一体どこから来るのだろう。
6月、驚異のエージシューターは、3日間休みを取っただけ。残る27日間をラウンド、エージシュートを24回、成功させた。休んだのは土曜日2日間とコロナ・ワクチンの注射日が入って休んだ1日の計3日間だけ。注射は、痛み、熱発が人によってはあるのだが、なんの影響もなし、いや、あても乗り切ってしまう生来の強さもこの人らしい。
これだけでは想像もつかないと思うので、27日間のプレーを詳細に追う。
6月1日、ホームコースの、20年余も続く伝統のコンペでそれは始まった。火曜日、47人が出場するよみうりGCの火曜会を41,40の81のベスグロで回って勢いに乗りその週を4日連続エージシュート。土曜は休み、日曜から金曜の6日連続でまた1日も絶やさず6エージシュート。計10回。さらに13日からまたも6連続でエージシュートを出した。実にこの間、1日から18日までの間、3日間休んだだけ。回った16ラウンドのすべてでエージシュートを連続させたのであった。
しかし、16連続で驚いていてはいけない。昨年、2020年夏だ。8月2日から9月17日まで、ラウンドした40ラウンドのすべてをエージシュートした記録を持つ田中さんである。40連続!いうのは簡単だが、8月のゴルフ場の熱さを知る者には体力、気力の図抜けた田中さんの強さに驚嘆するばかりである。こうした快挙を見るとき、心技体の充実という言葉しか浮かばないが、86歳と5か月がやることか、と訳の分からない理屈をこねて納得しようとする。いや、混乱する。そう、田中さんは人を混乱させる人なのである。
連続記録更新に、勢いづいた。6月19日土曜日、休みを返上、コースに出たのは無理があったか。東京よみうりCCのインスタートの前半を47、アウトコースで巻き返しを狙うが2打足りず88を叩き連続記録は16で途絶えた。そして20日の日曜日はコロナ・ワクチンの2回目接種を受けた。勢いは止まったかと思われたが、驚いたことに翌日には指導を受けるコーチの浪崎由里子プロらと埼玉・太平洋クラブ美里コースへ。結果は、初挑戦のコースで40,43の83である。
田中さん、5月30日に1回目のワクチン注射を受け、その3週後の2回目だった。2回目は個人差があり、痛みや熱発が体質によって出るといわれたが、何も起こらなかった。それどころか、エージシュートを見事、初コースで出して見せた。ちなみに初エージシュートは71歳の時、以来、達成コースは66コースを記録した。達成コースの多さもまた記録だろう。いずれデータが集まってくれば快挙となるはずだ。第1回から数え16年5か月、エージシューターは通算815回目を記録した。
◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。86歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。