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水をかけられ祝福される比嘉(カメラ・山崎 賢人)
◆男子プロゴルフツアー 長嶋茂雄招待セガサミーカップ 最終日(22日、北海道・ザ・ノースカントリーGC=7178ヤード、パー72)
プロ5年目の比嘉一貴(フリー)が2打差2位で出て6バーディー、2ボギーの68で回り、大会最少ストローク記録に並ぶ通算20アンダーをマーク、最終日逆転で2019年9月以来のツアー2勝目を挙げた。身長158センチの26歳は賞金ランク7位に浮上し、1973年のツアー制施行後、史上最小身長となる賞金王への挑戦も宣言した。2打差の単独首位から初優勝を目指した、プロ17年目の上井邦裕(38)=三好CC=は2打差の2位で終えた。
思い出の北の大地にさらなる節目を刻んだ。沖縄出身の比嘉は強風の難しい条件下で、得意の低弾道ショットを操るなど68。最終18番で50センチのウィニングパットを決めると右拳を突き出した。「周りの選手をコントロールできない。僕の目標は優勝ではなく、20アンダーにすることでした」とマイペースを貫き、上井とのマッチレースを制した。
アマチュアだった11年のANAオープンで予選会を突破してツアー初出場したのが北海道だった。当時から北海道の食べ物が好きで「すしのツブ貝や赤貝」が大好物だが、コロナ禍もあり、今週は「遊びに来ている訳ではないので。毎日コンビニ弁当で我慢した」。ツアー最小身長の優勝者は高いプロ意識もにじませる。
次戦のSansan・KBCオーガスタ(26日開幕・福岡)では初の連覇に挑む。賞金ランクは首位と約3500万円差の7位に浮上。「(12月の最終戦の)日本シリーズJTカップを賞金王争いの中で迎えたい」と、次なる目標を掲げた。歴代最小身長賞金王は18、19年の今平周吾の165センチだ。「東京五輪を見ても大柄な選手ばかり。僕が賞金王になったら夢がありませんか?」と比嘉は笑う。小さな体での大きな挑戦は次章へと続く。(榎本 友一)
◆比嘉 一貴(ひが・かずき)1995年4月23日、沖縄・うるま市生まれ。26歳。10歳からゴルフを始め、沖縄・本部高では宮里藍さんの父・優さんに師事。東北福祉大では2015年ユニバーシアード団体&個人金メダル。16年の日本オープンでベストアマ。18年は賞金ランク60位で初シードを獲得し、19年は同14位。158センチ、70キロ。家族は妻。