◆米男子プロゴルフツアー ZOZOチャンピオンシップ 第1日(21日、千葉・アコーディア習志野CC=7041ヤード、パー70)
4月のマスターズで日本男子初のメジャー制覇を果たした松山英樹(29)=LEXUS=が、ツアー競技としての“凱旋試合”で日本のファンの大喝采を力に変えた。6バーディー、ボギーなしで大会自己最少スコア64。首位と1打差の6アンダー、2位につけ、自国開催の米ツアー初制覇へ好発進した。昨年からのコロナ下では国内男女ツアー最多の観客が詰めかけた中、マスターズ王者のプライドと底力で好ショットを連発した。63で回った日本ツアー3勝の岩田寛(40)=フリー=が単独首位。
日本では久しぶりに見る壮観な景色に、松山の血が沸き立った。1番ティーグラウンドに姿を現すと、この日最多の観客が四方を取り囲んだ。「状態からしたら、恥ずかしいプレーばかりするんだろうなと思っていたが、あそこまで多くの方に来ていただけると、いいプレーをしなきゃいけないという重圧が出てきて。それが逆に良い方にいったかなと思います」。一打一打に降り注ぐ歓声と拍手に意地とプライドが刺激され、スコアを伸ばしていった。
開幕前日には不調を告白した。「マスターズが10だとしたら1もないような状態」。それでも責任感の塊はその後、日没まで練習場で懸命の調整。「何とかいけるんじゃないか」という感覚を取り戻し、第1Rのパーオン率は88・89%で全体1位。世界屈指の精度を誇るアイアンで魅せた。さらに、パットで苦しんだ前週からパターも替え、高速グリーンにも対応した。
序盤で勢いづいた。好発進した2年前の初日と同じく、青いウェアに身を包んだ松山は1番で2メートルを沈めて、19年と同じくバーディー発進。3番でも4メートルを沈めて伸ばし「先週も先々週も入っていなかったので、あの距離が入ってくれたのは救い。日本でやっているんだなと感じた」と約2年ぶりの母国の大喝采に背中を押され、流れに乗った。
無観客開催だった8月の東京五輪(4位)以来の国内戦出場となるマスターズ覇者見たさに、平日にもかかわらず4468人が詰めかけた。国内男子は今年7月の日本プロ選手権最終日の3979人、国内女子は今月の日本女子オープン第3日の4327人がコロナ下では最多だった。この日の入場券は最低で税込み1万8500円だったが、プライスレスな好プレーに「松山すごい!」「さすがマスターズ王者」などと感嘆の声が上がり続けた。
「今日みたいにいいプレーができるように頑張りたい」と松山。千両役者は母国の大声援を力に、米ツアー通算7勝目へと突き進む。(榎本 友一)