昨季国内女子ゴルフツアーで賞金ランク33位で初シードを獲得した植竹希望(のぞみ、23)=サーフビバレッジ=がこのほどスポーツ報知のインタビューに応じ、初優勝&メジャー制覇を誓った。美しいスイングから放たれる多彩な球筋を武器に、パーオン率全体5位と飛躍した屈指のショットメーカー。1998年度生まれ「黄金世代」10人目のツアー優勝が期待される注目株の素顔に迫った。(取材・構成=岩原 正幸)
植竹は昨季、ショットの正確さを示すパーオン率で73・35%(5位)と高水準を維持し、トップ10が7度。昨年9月の住友生命東海クラシックで2位など初優勝まであと一歩に迫った。
「初めてのシードなのでその点は褒めたいと思います。これまで予選通過が一度もなかったのが、(昨季)1年半で通過できなかったのは6回だけ。一番変わったのはショットです。高校の同級生で男子プロの黒崎蓮選手に19年から教えてもらい、みるみる変わりました。もう感謝しかない」
持ち球のドロー(右に飛び出し左に曲がる)に加え、フェード(その逆)も操り、豪快なスイングで観客を魅了する。だが、これまでのゴルフ人生は決して順風満帆ではなかった。プロ入り後は腰痛や手首の疲労骨折に苦しみ、アプローチイップスも経験した。
「高2くらいからコーチをつけずに独学でやっていて、時間が掛かってしまった。アプローチでは以前は手が動かず、何をどうしたらいいのか分からなかった。(男子で本来は飛距離が武器の)津曲泰弦さんにシンプルな打ち方を教えていただき、ウェッジで“OKパー”が取れるようになりました。男子プロはプレーの種類も多く、独特な考えを持っていて吸収するのが本当に楽しい」
同世代では勝みなみ、畑岡奈紗が早くから大舞台で活躍し、18年には同じ下部ツアーを主戦場とした渋野日向子が19年に国内メジャー優勝から全英女子オープン制覇。最も刺激を受けたのが渋野の存在だという。
「ステップアップツアーの会場で一番遅くまでパッティング練習をしていたのが日向子ちゃんだった。本当に尊敬している。私も練習はする方だけど、腰のケアで帰らなくてはいけなかったり…。基本的な練習量って実力に比例してくる。根性論みたいになってしまうけど、努力は絶対に裏切らない。やっとシードを取れたので私も一気に上に行ければいいと思います」
自身は母から「変人」と言われるくらい、ゴルフの研究に余念がない。米男子ツアー選手のスイング動画を見るのが日課となっている。
「ガルシア、ラーム(ともにスペイン)などイメージを出すために見ています。スイング解析で自分の映像と重ね合わせ、どういうところで飛距離をロスしているか、好きなので勉強したいなと思って。今は腹筋系を強くするため少しスイング改造をしています」
今年は黄金世代で10人目のツアー優勝が期待される。
「早めに1勝して、勢いに乗って何勝も積み上げていきたい。メジャーを勝って3年シードが取れたら、海外にも目を向けられると思います」
◆植竹 希望(うえたけ・のぞみ)1998年7月29日、東京・葛飾区生まれ。23歳。4歳からゴルフを始める。関東大会などで活躍し、中3時(14歳)の13年スタジオアリス女子オープンで最終日最終組でプレー。東京・日出高卒業後の17年プロテストに一発合格。20年下部ツアーで1勝。昨季約5983万円を稼ぎ、賞金ランク33位で初シード獲得。趣味は絵を描くこと。170センチ。