ゴルフで2008年賞金女王、11年限りで引退した古閑美保さん、世界最高峰の米男子ツアーでプレーする小平智夫妻の名前を冠したジュニア大会が23日、茨城・サザンヤードCCで開催された。中学~高校生の男女計66人が参加。各部門、18ホールのストロークプレーで争われ、成績上位の男女6人ずつが、5月に予定される全国大会(場所は未定)への出場権を手にした。
この日、古閑さんは会場でジュニアのプレーを見守り、表彰式ではプレゼンターを務めた。「それぞれに目標があるだろうけど、ゴルフを通じてたくさんの“経験”をしてもらいたい。プロを目指す人も、そうではなく経営者になる人もいるかもしれない。でも若いうちにいろんな経験をして、ひたむきに頑張れる人になってほしい。もちろんこの大会からマスターズに出たり、世界で戦う選手が出てきてくれたらうれしい」と思いを語った。
女子で優勝した上田澪空さん(共立女二高1年)は「古閑プロはレジェンドです。オフで試合がない期間だったので出たいと思った。18番で10メートル以上のパットが入ってバーディー。うれしかった」と笑った。同2位の関口碧さん(埼玉平成高2年)は世界ランク1位の高真栄(韓国)に憧れており、「いつかは海外でプレーしたい」。同3位の飯島早織さん(ルネサンス高1年)は「小平プロが茨城でも練習していたと聞いて、絶対出たいと思っていた」と笑顔で話した。
古閑さんは14歳だった96年に世界ジュニア選手権を制覇。00年までナショナルチームの一員として世界を舞台に戦った。「(海外は)やっぱり楽しかったですよ。若かりし頃の自分も英語を覚えようとしたし」。01年にプロ転向し、日本ツアーで12勝を挙げた。11年シーズンを終えてツアートーナメントから引退。それから約10年。「ゴルフがあったから、今の自分がいると強く感じていて。私はプロになってから海外志向は下がったけど、それも若い頃に経験したから。何でも経験してみないと分からない。若いうちにいろんな経験させてあげたいと感じたんです」と、今大会の開催に踏みきった。
大会は昨年11月に地元・熊本で九州代表、今回は夫・小平が東京出身であることから、関東代表を選抜。5月に両選抜が対抗戦で争う全国大会を計画している。全国大会で優勝し、ベストスコアをマークした選手には、全米ジュニアアマチュア選手権(米国)などの予選会出場のための費用が支援される。
今後のビジョンとして古閑さんは「この大会をずっと続けていきたらいいな。将来的には日程を増やしたり、ゴルフ場を貸し切るぐらいの規模にして、試合は小学生から高校生まで成立させたい。それからゴルフに初めて触れるような小さい子が球を転がしたり、参加できるイベントも行っていきたい」と思い描く。引退から10年。ゴルフの魅力を改めて実感する“レジェンド”が、後進の育成に全力を注いでいく。