金谷拓実 プロ転向後初のマスターズ出場へ「今年の目標の1つ。良いプレーをしたい」…4月7日開幕


金谷拓実は2019年のマスターズでは、日本人アマ2人目の選手として出場を果たしている(カメラ・榎本 友一)

金谷拓実は2019年のマスターズでは、日本人アマ2人目の選手として出場を果たしている(カメラ・榎本 友一)

 男子ゴルフの2022年メジャー初戦、マスターズは4月7日から4日間、米ジョージア州オーガスタナショナルGC(7510ヤード、パー72)で開かれる。日本ツアー3勝の金谷拓実(Yogibo)は昨年12月末の世界ランク50位以内の資格で、3年ぶり2度目の出場を決めた。

 劇的につかんだ夢切符だった。昨年12月の日本ツアー最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップ最終日。ツアー屈指の難易度を誇る227ヤードの最終18番パー3。金谷は5ユーティリティーを鋭く振り抜くと、ピン奥5メートルに落ちて、急傾斜をゆっくりと転がって右手前1メートルについた。バーディーパットを決めて単独3位に入ると、右拳を力強く握った。「マスターズを意識したパットだった。決められてすごい良かった」。年末の世界ランク50位以内を決め、賞金1000万円を上積みして賞金ランクも2位となり、22年7月のメジャー、全英オープン切符も手中におさめた。

 今年1月。マスターズ委員会からの招待状を受け取ると、プロとして3年ぶりに夢舞台へと帰還する実感がわいた。元々、強い海外志向を持つ。「マスターズはもちろん、大事な試合。今年の目標の1つ。良いプレーをしたい」。1月以降はコロナ禍に負けじと海外ツアー計6試合に出続けて、世界で戦う貴重な経験を積み、実戦感覚を磨いてきた。

 先週の世界選手権シリーズ、デルテクノロジーズ・マッチプレーでは初出場で快進撃を演じた。1次リーグで、東京五輪金メダルのザンダー・シャウフェレ(米国)にこそ敗れたが、ともに世界ランクでは格上の飛ばし屋トニー・フィナウ(米国)、ルーカス・ハーバート(豪州)を撃破。持ち前の小技と粘り強さを武器に16強に入り、決勝トーナメントまで勝ち上がった。7位に入った昨年10月のZOZOチャンピオンシップに続き、大きなポイントを獲得。「今年の目標」に掲げている、来季米ツアー出場権をかけた今秋の入れ替え戦出場へ向けて大前進した。

 19年4月、前年のアジア・パシフィック・アマチュア選手権優勝の資格で日本人アマ2人目のマスターズに出場した。初日は4バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの73で44位発進。第2日は2バーディー、4ボギーの74で57位で東北福祉大の先輩・松山英樹に続く日本人アマチュア2人目となる予選通過を果たした。

 第3日は6バーディー、2ボギーの68をマークして39位へ浮上。ローアマチュア獲得も視界に入った最終日は2バーディー、6ボギー、1ダブルボギーの78と崩れ、通算5オーバーの58位で終えた。それでも、4日間のフェアウェーキープ率は85・71%で堂々の全体1位を記録し、大きな存在感を示した。

 その後もアマチュアとして19年の全英オープン、21年の全米オープンに出場した。そして20年10月にプロ転向。ルーキーシーズンとなった昨季は、日本ツアーで2勝して賞金ランク2位で終えた。その後数か月、あえて厳しい海外ツアー転戦の道を選んでプロとなって戻る夢舞台で、一体どんなプレーを見せるのか。今週のバレロ・テキサス・オープン(31日開幕)にも出場予定だ。日本のホープは、研さんを積んできた得意のパットで“ガラスのグリーン”と呼ばれる超高速グリーンを攻略し、不屈のプレーで翌年の出場権獲得となる15位を目指していく。

 ◆金谷 拓実(かなや・たくみ)1998年5月23日、広島・呉市生まれ。23歳。5歳でゴルフを始め、広島国際学院高2年の日本アマ選手権で17歳51日の大会最年少V。同年日本オープン11位で大会最年少ローアマ獲得。18年アジア・パシフィックアマ選手権優勝。19年の三井住友VISA太平洋マスターズでツアー4人目のアマチュアV。20年10月、日本人初の世界NO1のアマチュアゴルファーに与えられる世界最高峰の栄誉「マーク・マコーマックメダル」を受賞。日本ツアー通算3勝。172センチ、75キロ。家族は両親と兄。

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