◆女子プロゴルフツアー 今季メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第3日(7日、茨城・茨城GC西C=6680ヤード、パー72、報知新聞社後援)
山下美夢有(みゆう、20)=加賀電子=が、国内メジャー初制覇に王手をかけた。2位に1打差の首位で出て6バーディー、1ボギー、この日のベストスコア67をマークし、通算11アンダーに伸ばした。過去にメジャー最終日の最大逆転は5打差で、2位と6打差は“安全圏”。初日から首位を走り、1988年のツアー制施行後、4日間のメジャーでは日本人4人目となる完全Vでのメジャー初制覇とツアー2勝目を狙う。
最終18番のティーショットで、山下の足は震えていた。打球は左ラフへ。ピンまで195ヤードの2打目、バンカー手前へ刻むことも考えたが「思ったよりボールが沈んでいなかった」と冷静に5ユーティリティーを選択。バンカー左サイドのグリーン手前から転がしてナイスオン。「思った通りに打てた」。“今日イチ”に挙げたセカンドショットでパーを拾い、頬が緩んだ。
初日首位で2位につけた3打差が、第2ラウンドは1打差に詰まった。「緊張しながら回ってきた」。追われる重圧を感じる中で思い出したのは、1か月ぶりに帯同した父・勝臣(まさおみ)さん(47)の言葉。「まずは焦らず、マイペースに」。重要な局面で反すうした。
離れていても動画などでチェックしてもらうが「実際に見てくれると、球筋も全然変わってくる。来て見てくれた方が自信になるし、納得できる」。ここ3戦連続の予選落ちから一転、3日間のパーオン率79・63%はトップ。「ショットの安定が大きい。あとはパッティングで、どれだけ決めきれるかと思っていた」。13番の9メートルを含めて4バーディーが3メートル以上と、今週導入した新パターもはまる好循環に声がはずんだ。
最終日を首位で迎えた過去3戦は優勝を逃したが、いずれも2位と1打差以内でのスタートだった。メジャーで6打差以上の逆転劇はなく歴史も後押しする。成人を迎えた今春に掲げた目標が「国内メジャー制覇」。2001年生まれの“21世紀世代”で複数回優勝している笹生優花、西郷真央もまだつかんでいない国内メジャー制覇が、はっきり見えている。
初日から一度も首位を譲らない完全Vへ「緊張しながらになると思う。本当に最終日まで何があるか分からない。1打、1打、集中して回れたらいい」。ひたすら「集中」と繰り返してきた今大会。身長150センチの20歳が、大きな夢を成し遂げ、とびきりのスマイルを見せる。(宮崎 尚行)