１０番ティーショットを放つ池田
◆日本男子プロゴルフツアー ▽ゴルフパートナー・プロアマ 第１日（１９日、茨城・取手国際ＧＣ東Ｃ＝６８０４ヤード、西Ｃ＝６５４４ヤード、ともにパー７０）
通算２１勝の池田勇太（３６）＝フリー＝がツアー自己最少「５９」の驚異的なスコアをたたき出し、“ロケット発進”だ。ツアー唯一のプロアマ形式の大会が開幕。西コースで１１バーディーを量産し、ボギーなしで昨年大会初日にショーン・ノリスらが出したコース記録も１打更新した。昨季（２０―２１年）は０９年から続いていた連続Ｖ記録が１１シーズンで止まってしまった実力者が、再び頂点を狙う。池田の東北福祉大の同期・岩井亮磨（３６）＝ティーケーケー＝ら２人が２打差の２位。
池田が怒とうのバーディーラッシュだ。インスタートの前半で５バーディーを奪うと、１番は左林から「１メートルの穴」という木の間を抜ける精密ショットで３メートルにつけ、５番は４メートルのパットを決めた。終わってみれば１１バーディーを量産。ツアー歴代３位で、自己最少の５９をたたき出し、２０年１２月以来の首位発進。「上がってスコアカードを見たら、５９だった」と思わず笑みがこぼれた。
ツアーで珍しい高麗グリーンに備えて「グリーンが重たい用」と説明するブレード型のパターを投入したのが奏功。準備を尽くし「ずっと調子は悪くなかったし、パターが入ったらこういう感じ」と納得顔だ。
アマチュア２人と同組でプレーし、圧巻のバーディーラッシュを目前で披露。だが、思いのほか静かなラウンドだったことに池田は「（同組選手が）１８ホール緊張されていて、バーディーを取っても何も言わない」と苦笑い。その真意を「どうやら自分のプレーより僕のバーディーを数えていたみたい」と明かした。さらに、驚異的なスコアで尊敬を集めて、他選手に「『全部のスコアカードに５９と書いて』と言われた」という。
０９年から１１季連続で優勝を重ねた。しかし、コロナ禍で年またぎとなった２０―２１年シーズンは３度の２位があるが、連続Ｖ記録は途切れた。心機一転、オフは自然とゴルフに没頭する時間が増えた。「いろんなことを見直した。スイングや体、クラブも。あらゆることを全てやった」と再起への気持ちを固めて臨む２２年だ。
今季はここまで全５戦で２０代がトロフィーを掲げた。プロ１６年目の３６歳は「間違ったことをやっていると思えないし、内容は非常に良い。あとはかみ合わせ。じっと待つしかない」。１９年６月以来、３年ぶりの頂を静かに見つめた。（宮下 京香）
◆池田のこの日の記録
▽１８ホールのツアー自己最少スコア「５９」 １６年ダンロップフェニックス（パー７１）最終日に出した６１を２打更新。ツアー記録では「５８」が最少で、２０１０年中日クラウンズ最終日の石川遼、昨年大会（ともにパー７０）最終日に東Ｃで金成が出している。ツアーで５０台で回ったのは石川、金、０３年アコムインターナショナル（パー７１）で５９を出した倉本昌弘に続き、ツアー４人目。世界最少記録は、ライン・ギブソン（オーストラリア）が１２年に米３部ツアーでの「５５」で、ギネス記録に認定。
▽アウトコースで９ホールの自己最少スコア「２８」 優勝した０９年ＶａｎａＨ杯ＫＢＣオーガスタ最終日のインコースなど過去３度記録した２９を塗り替えた。
▽西Ｃのコース記録 昨年大会初日にショーン・ノリスと大槻智春がマークした６０を１打更新した。
◆プロアマ形式大会 米ツアーではＡＴ＆Ｔペブルビーチ・プロアマがあるが、日本では昨年大会で初のプロアマ形式を採用。今年も同様に行われ、４日間、原則プロ２、アマ２の４人１組でプレーする。プロは予選ラウンド（Ｒ）は東Ｃと西Ｃを１Ｒずつプレーし、決勝Ｒは東Ｃでストロークプレーで争う。アマは予選会を突破した男女約３００人が出場。１９、２０日は毎ホールのチームベストスコアを反映させるダブルス戦で、２１、２２日は２Ｒの合計スコアで順位を決めるスクラッチ戦で競う。いずれも２日間のどちらかでプロと同組でプレーする。