青木瀬令奈、ティーを低くするフェアウェーキープ作戦で今季初V王手…「人生が変わる1勝になると思う」


5番でティーショットを放つ青木瀬令奈。通算11アンダーで単独首位に立った(カメラ・堺 恒志)

5番でティーショットを放つ青木瀬令奈。通算11アンダーで単独首位に立った(カメラ・堺 恒志)

◆女子プロゴルフツアー 資生堂レディス 第3日(2日、神奈川・戸塚CC=6570ヤード、パー72)

 4位から出た青木瀬令奈(29)=フリー=が5バーディー、1ボギーのこの日ベストに並ぶ68で、通算11アンダーの単独首位に浮上した。ティーを低くするフェアウェーキープ作戦が的中。昨年6月の宮里藍サントリーレディスで4年ぶりに2勝目して以降、ストイックに競技と向き合う生活を徹底させ、今季初Vに大きく近づいた。70の吉田優利(22)=エプソン=ら2人が1打差2位で続いた。

 青木は3メートルを決めた5番からの3連続バーディーなど、一気にスコアを伸ばした。唯一の3日連続60台となる、この日最少タイの68。気温31・7度を記録したムービングサタデーで単独首位に浮上し「前半にいいバーディーを重ねることができた。今日も伸ばせて、ホッとしている」と、ラウンド同様に冷静な表情で語った。

 ティーアップでティーを低くする作戦が奏功した。フェアウェーキープ率85・71%、パーオン率88・89%はともに3位と安定。「少し飛距離は落ちても狙ったところにいくのが、リズムがいい。いい位置から第2打が打てた」。平均飛距離222ヤードで67人中60位も、正確性を武器にするスタイルを変えずに戦った。

 昨年6月に4年ぶり2勝目を挙げ、競技に対する姿勢が変わった。大西翔太コーチから「どれだけ練習するかではなく、どれだけゴルフに向き合うか(が大事)」と助言され「それまでは正直甘さがあった。ゴルフ以外の時も、勝つためにどうしたらいいか常に考えてきた1年ちょっと。やっとプロスポーツ選手になった」と自身の変化を振り返る。

 以前は部屋でゲーム、漫画とリラックス時間もあったが「全部封印して」とストイックな生活に。昨年のサントリーレディス大会中に書き始めた日記、通称「ざんげノート」も6冊目に突入し「明日どうしたらいいかを考えて寝る」と日々、自問自答を繰り返した。

 若手の勢いが増す中、29歳はワールドレディスサロンパスカップ2位など、今季トップ10が5回。今週は1打差で通算3勝目に王手をかけた。過去2勝は最終日の逆転だが、初の逃げ切りを目指す。「4、5打差(先)に(仮想の)敵をつくって戦おうかな。(次の優勝は)かなり人生が変わる1勝になると思う」。常にゴルフと向き合う“求道者”に慢心はない。(岩原 正幸)

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