「ゴルフ天才少女」須藤弥勒、世界ジュニア3度目の優勝目指す 「看板娘」の責任感と特別な事情


世界ジュニアメジャー6勝目をかけて世界ジュニアに挑む須藤弥勒(提供写真)

世界ジュニアメジャー6勝目をかけて世界ジュニアに挑む須藤弥勒(提供写真)

 史上初のジュニアゴルフ世界4大メジャーのグランドスラムを達成し「天才少女」と呼ばれる須藤弥勒(ゴルフ5)が世界ジュニア選手権(12日開幕、米カリフォルニア州サンディエゴ)で3年ぶりの3度目とジュニアメジャー6勝目を目指す。すでに現地入りしている弥勒は4日(日本時間5日)「調子は良いです」と前向きに話した。

 10歳のアマチュアながら計11社・団体とスポンサー契約を結ぶ弥勒には「看板娘」ならではの責任感と特別な事情がある。

 弥勒は前回の世界ジュニアでシード権(5位以内)を獲得できなかったため、当初、今大会に向けて日本予選に当たる「日本代表選抜大会」の出場を検討。しかし、同大会を突破して「日本代表」として出場する場合、指定のユニホームを着用することが定められている。多くの企業・団体のロゴワッペンを帽子やウェアに掲示している弥勒は別ルートでの出場権獲得を模索。6月に米ネバダ州の予選会に出場し、9ホール2日計18ホールで2位の選手に10打差をつける圧勝で世界ジュニアに駒を進めた。

 弥勒が出場する「女子9歳・10歳の部」には同世代の日本代表選手も出場。「私は国内のジュニアの試合に出ないので、今回、日本の予選会を勝ち抜いた同世代の日本代表選手と同じ試合で競い合えることはすごく楽しみです」と弥勒は笑顔で話す。

 父・憲一さんも今大会にかける思いは強い。「一部では『弥勒が国内の大会に出ないのは日本のジュニアゴルファーに負けることを恐れて、勝負を避けている』と言われています。弥勒が海外の大会を中心に出場しているのはゴルフのためだけではなく、海外の選手と英語で交流したり、日本ではできない経験を積むためです。ただ、今回の世界ジュニアには弥勒と同世代で日本国内の大会で活躍している選手の皆さんが出場するので、弥勒の立ち位置を把握するためにいい機会と思っています」と話した。

 今年1月からアマ資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になり、抜群の実力と存在感を持つ弥勒のもとにはオファーが殺到した。

 その中で、ゴルフ専門店の「ゴルフ5」と所属契約、並びにマネジメント契約。家具などの企画・販売を行う大手の「ニトリ」、菓子・食品製造販売の「UHA味覚糖」、いしど式のそろばん教室を運営する「イシド」、自動車販売の「100%新車館」、飲料水製造販売の「サーフビバレッジ」、総合建設業を営むディーワイプランの住宅ブランド「ビスコッティハウス」、地元の群馬・太田市に本社を置くタイヤ・ホイール専門商社の「ニッタタイヤ」とスポンサー契約を結んでいる。さらにキャディーバッグに「Rakuten」。帽子に「SMBC日興証券」、福祉系の一般社団法人の「JUKAI」のロゴが入り、弥勒のスポンサーは計11社・団体に及ぶ。また、ワールド山内から約140万円の超高額パターのモニター貸与というサポートを受ける。

 「多くの方々に育ててもらっていることを実感しています。本当にありがとうございます。私はまだ10歳でアマチュアですけど、応援してくれる方々に対して責任感を持ってプレーします」と弥勒は感謝の気持ちを込めて語る。

 2018、19年に世界ジュニア選手権(米カリフォルニア州)を連覇。20年にマレーシア世界選手権(マレーシア・ジョホバール)、21年にキッズ世界選手権(米ノースカロライナ州)を制した。今年6月にはジュニア欧州選手権(英国スコットランド)で2位に12打の大差をつけて圧勝し、ジュニアメジャー5勝目。同時に史上初のジュニア4大メジャーのグランドスラムを達成した。

 プレーでもプレー以外でも話題満載。破天荒な10歳アマチュアゴルファー須藤弥勒が世界ジュニアでも旋風を巻き起こそうとしている。

 ◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。10歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導で成長を続けている。17、18年に世界ジュニアゴルフで連覇し、頭角を現す。現在、ドライバーの飛距離は220ヤード。家族は父、元フィギュアスケート選手の母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。145センチ、52キロ。

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