勝みなみ、大ピンチ17番でパット吸い込まれ「ガハハハッ!」史上初72ホールノーボギーV


通算22アンダーで優勝し、トロフィーを手に笑顔を見せる勝みなみ(カメラ・谷口 健二)

通算22アンダーで優勝し、トロフィーを手に笑顔を見せる勝みなみ(カメラ・谷口 健二)

◆女子プロゴルフツアー ▽楽天スーパーレディース 最終日(31日、兵庫・東急グランドオークGC=6616ヤード、パー72)

 勝みなみ(24)=明治安田生命=が1バーディー、ボギーなしの71でまとめ、通算22アンダーで今季初勝利、ツアー7勝目を挙げた。4日間72ホール競技でボギーなしの優勝は記録が残る1990年以降で初となった。9差首位から出た最終日は、4度迎えたボギーのピンチを粘ってパーセーブし、2位に5差をつけて逃げ切った。1日に渡英し、2年ぶり3度目となるAIG全英女子オープン(4日開幕、ミュアフィールド)に挑む。

 今大会71ホール目の17番パー3、勝は最大のピンチを迎えた。気温33度の猛暑の中で冷や汗が出た。「やばいと思った」。第1打を左のカラーに外し、大記録が途切れる可能性も覚悟しながら4メートルのパーパットを放った。「右に切れて(外れて)終わると思った」というが、結果は「真ん中から入って『えっ』って」。球が吸い込まれると「ガハハハッ!」と、豪快な笑い声が飛び出した。

 18番もパーで上がり、記録が残る90年以降では4日間大会で初のボギーなしV。「本当に難しいこと。簡単にボギー打ったりするし、1日でも難しい。4日間続いたのはラッキー」と喜んだ。3日間大会では11例あるが「初というのは知らなかった」と真顔でおどけた。

 「やりづらさもあった」という最終日。初日から65、66、64の快進撃から一転、我慢の展開だった。4番で2メートル、12番で4メートルなど、しぶといパットを入れ続けた。「(開始前に)9打差あったので気持ちの余裕があった」と勝。「ボギー打っても、またバーディー取ればいい」と、ショットの好調さが自信の裏付けとなった。

 2020年から行う週3回のトレーニング効果で、今週の平均飛距離は260・25ヤードで2位。広いコ

ースと飛ばしのスタイルが合致した。パーオン率も約79%の1位と正確性も光り、隙を与えなかった。通算22アンダーでの優勝はツアー歴代3位のスコア。最多記録(16年テレサ・ルーの24アンダー)に届かず「そこは残念」と悔しがったが、今季初Vに「自信がついて英国に行ける」と胸を張った。

 全英に向け1日に渡英。初挑戦だった19年に35位、予選落ちした20年以来、三度目の正直を懸ける。「予選通過して4日間回りたい」とリベンジを掲げた。気温33度の兵庫から17度程度のスコットランドへ。「上着、(保温用の)カイロを持っていきます」。黄金世代で国内最多タイの7勝目を挙げた筆頭格が世界に乗り込む。(岩原 正幸)

 天国の祖母へ 勝は今年、祖母の市来美江子さん(享年81)を亡くしたという。「おばあちゃん子だったので、保育園に迎えに来てもらって、ご飯食べて帰るのが日課だった。優しかった」と声を詰まらせながら思い出を語った。10年以上体調を崩していたそうで「小5くらいから(試合を)見てもらうことはできなかったけど、(今回の活躍を)どこかで見てくれたと思う」と、しんみりしていた。

 ◆3日間大会のボギーなし優勝 1988年のツアー制施行後では、11人が達成。直近では、今年6月のニチレイレディスで西村優菜が65、68、66の通算17アンダーで制覇。

 ◆連続ノーボギーホール 21年GMOレディースサマンサタバサ第2R1番から、大東建託・いい部屋ネットレディス第3R14番までの山下美夢有の86ホールがツアー最多記録。勝は前戦の大東建託・いい部屋ネットレディス最終日の18番から、73ホール連続ボギーなしを継続中。日本ツアーに復帰する次戦の初日には、山下の記録更新がかかる。

 ◆勝 みなみ(かつ・みなみ)1998年7月1日、鹿児島市生まれ。24歳。8歳からゴルフを始める。鹿児島高に入学直後の2014年4月、KKT杯バンテリンレディスで日本女子ツアー最年少15歳293日で優勝。73年の清元登子、03年の宮里藍に続く3人目のアマチュア優勝を成し遂げた。17年のプロテストに一発合格。飛距離とパットを武器に21年日本女子オープンなど通算7勝。賞金ランクは18年9位、19年10位、20―21年は7位。157センチ。血液型AB。

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