米女子プロゴルフツアーの今季メジャー最終戦、AIG全英女子オープンが4日から4日間、英北部のミュアフィールド(6649ヤード、パー71)で開催される。5年連続5度目出場の畑岡奈紗(23)=アビームコンサルティング=は3日、会場で最終調整。海沿いの難コース攻略の準備を整えた。今季の目標に設定したメジャー初制覇へ「やっぱり勝ちたい」と改めて強い決意も示した。日本勢は2019年大会覇者・渋野日向子(23)=サントリー=ら過去最多12人が出場する。
畑岡が、目標に掲げた今季中のメジャー初制覇へ“ラストチャンス”に臨む。米ツアー参戦6季目は、開幕前から「メジャー優勝」と言い続けてきた。だが、ここまでのシーズン4戦は、6月の全米女子プロ選手権5位が最高。悲願には手が届いていない。最終戦の全英を前に、「調子も上がってきたので、やっぱり勝ちたい」と日本女子4人目となるビッグタイトルを見据えた。
“天敵”のリンクスコースに立ち向かう。全英は5度目の出場で海沿いのリンクス特有の強風に手を焼き、昨年の26位が最高。予選落ちも2度ある。「リンクスは大嫌い」と漏らしたこともあった。だからこそ、2日は強風下のプロアマ戦で18ホール、3日も練習ラウンドをこなし、風を読みながらフェアウェーサイドのブッシュやグリーン上も入念に確認。「ショットの状態も良くなってきた。グリーンも合っている」と攻略の糸口を見つけ出した。
やれることは全て尽くした。今季は4月末のDIOインプラントLAオープンで通算6勝目を挙げた。だが、悲願に向けて満足はしなかった。メジャー4戦を残した段階で、風にも強い安定性を求めた。上体が浮き上がらないスイングに思い切って変更した。さらに、今春から師事する黒宮幹仁コーチが先週末から英国入りし、パットなど細部も突き詰め、「自分では気づけないことに気づけた」と万全を期した。前週の同じリンクスでのスコットランド・オープンは、ショットに手応えを得ての7位。「リンクスがだんだん好きになってきた」と、苦手意識も払拭(ふっしょく)して今大会に臨む。
17年に全米女子プロ(予選落ち)でメジャー初出場してから6年。昨年の全米女子オープンはプレーオフで笹生優花(21)に惜敗し、初Vへの思いを募らせた。「上で戦いたいという気持ちが強くなった」。世界ランク9位の日本女子エースが、名門コースに全てをぶつける。
◆日本女子のメジャー優勝 これまでに3人が達成しており、1977年全米女子プロ選手権を制した樋口久子、2019年AIG全英女子オープンの渋野日向子、21年全米女子オープンの笹生優花がいる。
◆ミュアフィールド 英北部で1891年に創設された世界屈指の名門コースだが、長らく女性メンバーを認めず、2017年に投票により、ようやく受け入れた。女子のメジャー大会は初開催となる。男子のメジャー、全英オープンは1892年から16回開催され、02年大会で丸山茂樹が5位、13年大会で全英初出場の松山英樹が6位に入った。アウトで時計回りに1周し、インはその中を反時計回りに回るため、「18種類の風が吹く」と言われる。フェアウェー両サイドに約1メートルのブッシュが密生し、深いポットバンカーも要注意だ。