渋野日向子、涙と笑顔の1差3位 3年間の苦闘から激変「ミスを怒りを力に変えられた」


渋野日向子

渋野日向子

◆米女子プロゴルフツアー 今季メジャー最終戦 AIG全英女子オープン 最終日(7日、英国・ミュアフィールド・リンクス=6659ヤード、パー71)

 首位と5打差の2位から3年ぶりの優勝を狙った渋野日向子(23)=サントリー=は1イーグル、3バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの71で、通算9アンダーで1打差の3位だった。ここ最近の不振から脱却し、試合後は手応えと悔しさが入り交じり、涙を流した。10アンダーのアシュリー・ブハイ(南アフリカ)が田仁智(チョン・インジ、韓国)とのプレーオフを制し、ツアー初勝利をメジャーで飾った。

 渋野は健闘も1打及ばなかった。直後のテレビインタビューで、「やり切ったかなとは思うけど、悔しい」と語り、涙をこぼした。6月下旬から棄権、2戦連続予選落ちと極度の不振からのV字回復に、「最近の私の調子とは全く違うゴルフ。すごく成長したと思いたい」と前を向いた。激変ぶりの要因を、「ミスに怒り、次のホールのティーショットに生かせた。怒りを力に変えられたのは久しぶり」と自己分析した。

 最終日は優勝した19年と同じブハイとの最終組。5番のイーグルなどで3打差で折り返したが、14番で痛恨のダブルボギー。5打差がつき、万事休すと思われた状況にも、「諦めてはいなかった」。15番でブハイがトリプルボギーをたたき、17番のバーディーで1打差に迫る反撃を見せたが3位。日本人初のメジャー2勝目には届かなかった。

 出入りの激しい展開にも、「心の底からゴルフを楽しめた」と、遮二無二プレー。渋野にとって全英女子は「自分がつくり上げられた大会で、楽しむ気持ちを思い出させてくれる場所」という。初心に帰り、伝統あるリンクスコースで地力を証明した。ただ、ここ3年間はもがき続けた。

 プロ合格前から師事し、3年前の優勝をともにしたコーチの下を20年限りで離れた。同年末の全米女子オープン、決勝ラウンドでショットが乱れて4位に敗れたのをきっかけにスイング改造に踏み切った。「新しい自分を積み重ねる」。トップの位置が低い、再現性を求めたスイングを独力で磨き、昨秋に日本ツアーで2勝を挙げた。

 ツアールーキーとして臨む今季、シェブロン選手権(4月)の4位など、来季シード権を確実にして復活の兆しが見られた。だが、5月以降は壁にぶつかった。一時帰国したブリヂストンレディスで最後まで練習場に残っていたのは渋野だった。光が差す時を待ち、自らの道を信じ続けた。

 4日間を戦ったのは約3か月半ぶり。涙が乾くと「自信が持てるようなショットが多々あった。難しい、素敵なコースで結果を出せて、悔しさも、うれしさもある」と、充実感をにじませた。渋野の夏は終わったが、笑顔と強気な姿勢を取り戻し、復活を印象づけた。

 ◆渋野の今後の試合 18日から3日間、インドネシア・ジャカルタで行われるツアー外競技「シモーネ・アジアパシフィックカップ」に出場予定。その後は、25日からカナダで行われる米ツアー、CP女子オープンとなる見通し。

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