大西魁斗、“原点”で初Vだ…アマ時代ツアー初参戦の地で3差5位浮上


3番、ティーショットを打つ大西魁斗(カメラ・今成 良輔)

3番、ティーショットを打つ大西魁斗(カメラ・今成 良輔)

◆男子プロゴルフツアー ▽長嶋茂雄招待セガサミーカップ 第2日(19日、北海道・ザ・ノースカントリーGC=7178ヤード、パー72)

 31位から出た大西魁斗(23)=ZOZO=が7バーディー、2ボギーの67と伸ばし、通算6アンダーで首位と3打差の5位に急浮上した。プロとしてツアーデビューした丸山奨王(ショーン、22)=フリー=とは幼なじみの有望株が、18年に2人でツアー初参戦した思い出の大会で初優勝を狙う。奨王は73のイーブンパー、65位で予選落ち。金谷拓実(24)=Yogibo=が69の9アンダーで首位を守った。

 大西が“原点”の舞台で躍動した。風速9・6メートルの強風が吹き荒れた午前スタート。1番パー4の175ヤードからの第2打。6アイアンで風に左右されない低弾道の球を放ち、1メートル半にピタリとつけてバーディー。勢いそのままに、計7つのバーディーを量産して31位から5位に大きく順位を上げた。「ミスがなく全体的にスコアが良かった」と充実の表情だ。

 短い期間でたくましくなった。今季は「こまめに食べるように」と食事を見直し、体重は3月の開幕時から7キロアップの74キロに増量。シャツのサイズは「Lから2XL」になった。ラウンド中も好物の山崎製パン・ランチパックの「ピーナッツ」を口に含み「安定性がある。構えた時にスカスカな感じがしたが(今は)しまっている」とどっしり構えられ、パーオン率は全体2位の88・89%に安定した。

 幼なじみにも刺激を受けた。今大会でプロデビューした丸山茂樹(52)の長男・奨王とは、米ロサンゼルスにゴルフ留学時代の10歳、奨王が8歳の時に練習場で出会った。米ツアー3勝の茂樹プロにも手ほどきを受けながら鍛錬した。NHKの英会話講師を務める大西の父・泰斗さんの影響で留学した経緯もあり、大西も奨王もバイリンガル。スタート前は「気分で」発する2つの言語でたわいもない会話。奨王の緊張を和らげると、試合でも1つ前の組で回る奨王の球を「どこ行った~?」と目で追っていた。

 18年の同大会で一緒にアマチュアでツアーデビューを飾った。大西は「始まり」と語る。2人がともにプロになって初めて原点に立ち「お互いに幸せ」と感慨深げ。プロ2年目のトップ10が7度と安定感は抜群だ。「いつかは(優勝)が来ると思っている。明日も今日と同じプレーができたら」と思い出の地で初優勝をつかむ。(宮下 京香)

 ◆大西 魁斗(おおにし・かいと)1998年10月13日、千葉県生まれ。23歳。5歳でゴルフを始め、9歳の時、語学力とゴルフの練習環境を求めて渡米。13歳から5年間、米IMGアカデミー入り。昨春に南カリフォルニア大を卒業し、同5月に日本でプロ転向。ツアーでは今年5月のアジアパシフィックオープンダイヤモンドカップなど2位が2度。177センチ。家族はNHK「ラジオ英会話」などで講師を務める父・泰斗さん、母、姉。

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