中島啓太「心臓バクバク」プロデビュー…2年連続アマ世界一が連覇へノーボギー69で4差19位発進


1番、ティーショットを放ちクラブをくわえる中島啓太(カメラ・馬場 秀則)

1番、ティーショットを放ちクラブをくわえる中島啓太(カメラ・馬場 秀則)

◆男子プロゴルフツアー パナソニックオープン 第1日(22日、兵庫・小野東洋GC=7113ヤード、パー72)

 昨年大会で、73年のツアー制施行後史上5人目のアマチュアVを果たし、今月12日にプロ転向を表明した中島啓太(22)=フリー=が3バーディー、ボギーなしの69で回り、3アンダーの4差19位で“デビュー戦”初日を終えた。終始、緊張しつつも2年連続アマ世界一の地力を披露。ツアー史上初となるアマ&プロでの大会連覇を目指す。桂川有人(23)=国際スポーツ振興協会=、今平周吾(29)=ダイヤ=がともに7アンダー、ボギーなしの65で回り首位。

 トップアマに君臨してきた、クールな中島の姿はなかった。1番ティーのプロ初ショットに「メチャクチャ緊張した」と吐露。バックスイング時にボールが揺れて見えたという。その後も「心臓がバクバクして、普段通りにやることが難しかった。メモを見ても、震えているのが分かった」と告白したように、前半は必死のイーブンパー。後半に3バーディーを奪ったが、平常心に戻れたのは「17、18番くらい」と明かした。

 試合前夜は午後10時頃に就寝。だが、翌午前6時半の起床予定が同2時に目が覚めてしまい、寝つけなかった。アマ世界一に贈られる「マコーマックメダル」を男子初の2年連続で受賞した男でさえ、「プロ」の重圧は大きかった。

 15年に中3で挑んだ初ツアーは「ワクワクした感覚」だった。あれから7年、厳しい世界を体感。今年は海外メジャーも経験した。マスターズは「水の中にいるような息苦しい感じ」、全米と全英は「人が多く、のまれないように保つのが大変だった」。どれとも違った。昨年のこの大会で涙の歴史的Vを達成するなど、国内ツアー29戦を重ねたからこそ分かる重み。同組で回った、今季3勝で現在賞金ランク1位の比嘉一貴の「やっと乗り越えたね」の言葉がうれしかった。

 首位とは4差。スコアを伸ばせなかったが、ノーボギーにまとめた。前半は4ホールで予定変更し握らなかったドライバーも、18番は「最後は、振り抜いて終わりたかった」と次につなげた。「今日が一番悪い日になるよう、明日から伸ばしたい」。生みの苦しみを乗り越えた。ここから本領発揮だ。(宮崎 尚行)

 ◆アマチュア優勝選手のプロ転向後のデビュー戦

 ▽倉本昌弘 80年中四国オープンV→81年デサントカップ北国オープン2位タイ

 ▽石川遼 07年マンシングウェアオープンKSBカップV→08年東建ホームメイトカップ5位タイ

 ▽松山英樹 11年三井住友VISA太平洋マスターズV→13年東建ホームメイトカップ10位タイ

 ▽金谷拓実 19年三井住友VISA太平洋マスターズV→20年日本オープン7位

 ※73年のツアー制施行後

最新のカテゴリー記事