◆男子プロゴルフツアー マイナビABC選手権 第1日(3日、兵庫・ABCGC=7217ヤード、パー72)
日本オープンでアマチュアとして95年ぶり2人目のV&初のツアー2勝目を挙げ、プロ転向初戦となった蝉川泰果(たいが、21)=東北福祉大4年=は2バーディー、4ボギーの74で回り、2オーバーの70位発進となった。出場99人中ワースト2位の36パットと、グリーンに苦しむ“ホロ苦デビュー”。出身地の兵庫・加東市で、“がい旋フィーバー”に感謝し、巻き返しを誓った。今季2勝の新人、河本力(22)=フリー=が8バーディー、1ボギーの65で回り、7アンダーで首位。
偉業を引っ提げ乗り込んだ元アマ世界一のプロ初ラウンドは、最後まで振るわなかった。最終18番パー5。蝉川は2オンしながら10メートルのイーグルパットどころか、1メートルに寄せたバーディーチャンスも外してパー締め。首をかしげ「あれを外すかな…。自分じゃない感じ。悔しい」と率直な思いを吐露した。
パットに苦しんだ。記録上は3回だが、カラーからも含めた3パットが「5回もあった」と強調。「真っすぐ構えているつもりでも、左に飛んじゃって。ここまでズレて外すことはない」。平均パット2・0667は出場99人中95位と不調は明らか。レギュラーツアーで2オーバー(パー72)以上、70位以下は予選落ちした5月のミズノオープン第2日(4オーバー、76位)以来。自己採点で「10点。シンプルに下手」と、はき出した。
15歳だったアマ時代の16年にレギュラーツアーで初めて予選突破し、地元開催の今大会をプロ初戦に選んだ。逸材のプレーを見ようと、男子ツアーの大会初日としては今季4番目に多い1589人が来場。蝉川が好むピンク地に「TAIGA SEMIKAWA」とプリントされたタオルを手に「タイガ~」「頑張れ~」などの声援が飛び交った。
出だしの1番は「緊張して、スコアカードを書く時は手が震えた」と明かした。スコアもままならず、心中穏やかでなかったはずだが、コース脇のファンの反応に何度も顔を向けた。「プロである以上、笑顔で返すのがいいのかなと。自分自身の世界に入っても、見てくれないと思う」と自覚をにじませた。
当然、プロとして最も重要な仕事は分かっている。「いいプレーをすることが大事」。挽回へ気合を入れ直した。「落ち込んでも仕方がない。上しか見てない」。このまま終わるつもりは毛頭ない。(宮崎 尚行)