◆男子プロゴルフツアー マイナビABC選手権 第2日(4日、兵庫・ABCGC=7217ヤード、パー72)
首位と9差70位から出た、元アマチュア世界一でプロ転向初戦の蝉川泰果(たいが、東北福祉大4年)は6バーディー、2ボギーの68で回り、通算2アンダーでホールアウトした。全組がプレーを終えていないが、60位までが決勝ラウンド(R)に進出する予選カットラインは、現段階で1アンダー。予選突破圏内に大きく浮上した。
蝉川は序盤の“スーパープレー”で勢いに乗った。11番パー4。大きく右に曲げたティーショットは、右隣の12番コース側の下り斜面ラフに落ちた。グリーンまでは残り130ヤード程度で、アドレスは急な角度のつま先下がり。50度ウエッジで腰をかがめるようにして打った難易度の高いショットは、まばらに立つ木々を越えつつ、右側から左へ巻くようにしてピン奥6メートルにオン。パットも沈め、力強く右拳を握った。パーセーブどころか、圧巻のバーディー奪取にギャラリーからは「すごい!」などと感嘆の声と拍手が沸いた。
蝉川は「ちょっと右目からドローをかけて、狙いました。ピンは狙えない。結構(カーブをかけて)まわしましたね。15ヤード以上は曲がっていると思います。結構、うまかったんじゃないですかね。ギャラリーの人もビックリしていたと思います。魅せられたショットかな」と自画自賛した。ボギーやむなしの場面で「まずいなっていう感じでした」と本音もこぼしつつ、「でも、横に出すとしても難しい。右サイドが結構、空いていてセーフゾーンが大きかったので、右に出し過ぎてもセーフティーにいけるかなと思って。ラフが長かったら難しいけど、ほとんどベアグラウンド(芝生がはげたりして、土がむき出しの状態)だったので、逆に(ドローを)かけやすかったですね。イメージはできあがっていました。たまたまできた、というよりも、イメージしたなり、以上に打てた感じです。それこそ、予選カットラインも本当に伸ばしていかないといけない状況だったので、少しリスキーには攻めたつもりです」と覚悟を持って打った1打の心境を明かした。
前日に苦しんだパットの調子も戻り13、15、18番でチャンスをしっかり決めきって、前半を4バーディー、ボギーなしで折り返し。後半は2バーディー、2ボギーと耐えて、最終的にスコアを4つ伸ばして、浮上した。
蝉川の初日は出場99人中ワースト2位の36パットなどが響き、2オーバーの“ホロ苦デビュー”。予選落ちならば今年5月のミズノオープン以来3試合ぶりだったが、出身地でもある兵庫県加東市の応援団に決勝ラウンドでも雄姿を見せられそうだ。蝉川は「昨日はお客さんに魅せたいと思って、ガンガンと行こうとしていたんですが、今日はマネジメントとか、いろいろと考えて回りました。やらないといけないという意識に変わりましたね。(パットを)入れたいなくらいじゃなくて。昨日は覚悟が足りなかった。地元ということで、これだけ注目されているので、明日から行けるところまでマクったろうと思っています」と力を込めた。