石川遼、森保ジャパン快挙刺激に4差8位「人を感動させる力っていうのはすごい」 


1番、青空の下ティーショットを放つ石川遼、-4でホールアウト(カメラ・今成 良輔)

1番、青空の下ティーショットを放つ石川遼、-4でホールアウト(カメラ・今成 良輔)

◆報知新聞社主催 国内男子プロゴルフツアー 今季最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第2日(2日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 12位から出た石川遼(31)=カシオ=が4バーディー、2ボギーの68で回り、通算4アンダーで首位と4打差の8位。2015、19年に続く史上7人目の大会3勝目を狙う中、この日早朝に行われたサッカーW杯・日本―スペイン戦はテレビ観戦を控えたが「人を感動させる力はすごい」と刺激を受けた。19位で出た初出場の蝉川泰果(たいが、21)=東北福祉大4年=が通算3アンダーで5差12位に浮上。1973年のツアー制施行後、史上最年少でのメジャー連勝へ突き進む。

 最終18番、1・5メートルのパーパットを落ち着いて沈めた石川はファンの拍手に応え、ホッとした表情を浮かべた。途中、手袋を装着するほど寒風吹くラウンドで2つ伸ばし、「(この位置は)悪くない。すごいハマって波に乗っている感じではないけど、自分のマネジメントはしっかりできている」と視線を上げた。

 一人のサッカーファンとして、試合を見たい気持ちを我慢して万全の体調で臨むことを優先した。「すごく気になったので朝一で(結果を)見て、びっくりした。正直に言うと、普通に見たかったけど、やっぱりゴルフも好きなんで(笑い)。今日18ホールを最高に楽しむ準備をした」。ファンに自身の最高のプレーを見せたいというプロの務めだった。

 サムライブルーの勝利に刺激を受けてラウンドした。19年ラグビーW杯で日本が8強で盛り上がったことを引き合いに「人を感動させる力っていうのはすごい」と、しみじみと言った。自身より年上のポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(37)がサッカーW杯で5大会連続得点した話題を持ち出し「フィジカルの強度も次元が違う競技で、長く一線でやっている。尊敬しかない」と目を輝かせた。

 この大会は無観客だった20年(6位)以来の出場。この日も常に数百人の観客を連れて回った。「(残り2日)非常に楽しみ。見に来てもらった人が良かったと思えるプレーができるように頑張りたい」と力を込めた。

 11月に2年11か月ぶりに優勝した翌週、「しっかりしたプロセスを踏んでいく。その積み重ねですね」と、浮かれた様子は一切見せずに語った。この日の16番ではアイアンショットをグリーン手前に外し、首をかしげる場面も。「ガンガン伸ばしたい気持ちはあるが、(ショットの感触で)あまり多くを望めない。状態に見合ったゴルフと攻め方をしたい」と足元を見つめた。

 石川もまた、日本代表と同じく“勝負の神は細部に宿る”の言葉を芝の上で体現する。前半2日間を4打のビハインドで終えたが、後半勝負のシナリオもあるはず。「明日(3日)次第で最終日のプランを変える可能性もあるけど、焦らずコツコツと」。自らに言い聞かせた先に歓喜の瞬間を見据える。(岩原 正幸)

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