牧野裕氏の見解 谷原秀人の経験と勝負強さがまれに見る大接戦を制する決め手になった


14番、バーディーパットを決めた谷原秀人 2連覇で優勝(カメラ・竜田 卓)

14番、バーディーパットを決めた谷原秀人 2連覇で優勝(カメラ・竜田 卓)

◆報知新聞社主催 国内男子プロゴルフツアー 今季最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 最終日(4日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 4打差5位で出た昨年覇者・谷原秀人(44)=国際スポーツ振興協会=が5バーディー、ボギーなしのこの日ベストに並ぶ65をマークし、通算12アンダーで逆転優勝した。2010~12年の藤田寛之以来の史上6人目の連覇を達成し、大会3人目の選手会長Vで通算17勝目を飾った。

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 2打差以内に6人。これだけ、最後まで分からない展開は珍しい。大接戦を演出したのは、東京よみうりCC。特にグリーンが難しく、最後に上位に来たのはコースを熟知している選手が多かった。

 谷原はもちろん実力もあるが、今年の選手で出場回数最多タイ(14度)、優勝経験もある。ポイントだった17番でバーディー、18番をパー。うまく逃げ切った形だった。

 日本ツアーでこれだけスコアの動く最終2ホールは、なかなかない。17番は最低条件でバーディー。一方、18番はいかにパーを取るか。ここで明暗が分かれた。残念だったのが小平。初日からいいゴルフをして首位で迎えたが、17番ボギーで届かなかった。同じく最終組の出水田は17番を取ったが11アンダー。谷原が先に上がっており、ここで並んでおかないと最終日のピン位置、しかもV争いの中でバーディー奪取は至難だった。

 今大会出場者は10代1人、20代17人、30代9人、40代3人。魅力的な若手が、数多く出場したのが特徴だった。岩崎は初優勝に迫り、19歳の長野が健闘、注目の蝉川も最後に追い上げ。しかし、若さという勢いだけではこのコースを制圧できなかった。谷原が、培ってきた経験と勝負強さで40代もまだまだやれると示し、壁となった。若手もまた、挑戦したいと思っているはず。来季も非常に楽しみだ。(プロゴルファー・牧野裕)

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