“元祖ギャルファー”金田久美子「歩くの嫌い。日に当たるの嫌い。でもゴルフを頑張っている自分は好き」…単独インタビュー


プロ16年目の金田久美子。笑顔を見せながらインタビューに応じた(カメラ・今西 淳)

プロ16年目の金田久美子。笑顔を見せながらインタビューに応じた(カメラ・今西 淳)

 女子ゴルフで昨季、ツアー最長となる11年189日ぶりの復活優勝を遂げた金田久美子(33)=スタンレー電気=が、30日までにスポーツ報知のインタビューに応じた。派手なルックスで早くから注目を集めた“元祖ギャルファー”が「ダサいまま終わりたくない」という強い気持ちが支えだった浮上までの道のり、「嫌い」と公言するゴルフをプロ16年目となる今季も続ける理由などを語った。(取材・構成=高木 恵)

 昨年10月の樋口久子・三菱電機レディスでの優勝は、プロ初勝利とはまた違った喜びがあった。金田が3か月前を振り返る口調に、熱が帯びた。

 「18ホールずっと自分に『びびるな!』って言っていた。初優勝したとき(5打差8位からの逆転)とは状況も違ったから。最終組で勝てて、なんかつかみ取った感じがして、100倍くらいうれしかった」

 ウィニングパットを沈め、仲間のウォーターシャワーを浴びた(2023年から禁止)。感極まり泣き崩れる寸前の出来事。金田は内心焦っていた。

 「あの日、何も考えていなくて、お湯落ちマスカラしてたのね。だから、『やばい、マスカラ取れる』とは思った。表彰式まで鏡見る時間もなかったから、関係者に『目の周り大丈夫ですか? お湯落ちマスカラなんです、今日』って3回は聞いた。でも大丈夫だったからよかった(笑い)」

 11年は長い。腰痛でドライバーは140ヤードしか飛ばない時期もあった。コースに着くと涙がこぼれた。シード落ちも経験した。復活までの道程を支えたのは、金田なりの信条だった。

 「ダサいまま終わりたくない、が、一番強かったかな。逃げたくなかった。アスリートってだめになって終わることが多いんだろうけど…。あんなところで終わったらダサいし、みたいな感じ。心はもう毎日折れていた。ポキポキ聞こえるんだから。本当、ずっとポキポキいっていた。この世の終わりかと思うくらい。本当に頑張ってきてよかったなって今は思える」

 3月のダイキンオーキッドレディスから今季が始まる。3勝目を挙げたいという気持ちはもちろん強いが、次に目指すは自分の理想の人間像に近づくことだ。

 「自己肯定感を上げたい。自分を好きでいられるように。自分はゴルフしかできないし、自分を認められる瞬間は、ゴルフを頑張っているときだから。どんな職業でも頑張っている人は尊敬できるから、自分もそうなりたいって思ってやってきている。もともと勝負事は好きじゃないし、ゴルフも好きじゃないんだけど…」

 3歳から続けているゴルフ。どうやら好きではないらしい。それでも歯を食いしばり、頑張り続けることは決めている。

 「ゴルフしている時間は憂鬱(ゆううつ)だし、練習も楽しいなんて感覚は一瞬もないし。歩くのも嫌いでしょ、日に当たるのも嫌いでしょ、我慢するのも嫌いでしょ。嫌いなことしかつまっていないんだけど、ゴルフして頑張っている自分は好きだと思うの。そこぐらいなの、自分の好きなところって。だから頑張ることを続けて、だめなときも応援してくれていた人たちに、いい報告をして、笑って喜んでほしいって思う」

 ◆金田 久美子(かねだ・くみこ)1989年8月14日、名古屋市生まれ。33歳。父・弘吉さんの教えで3歳からゴルフを始める。98年、8歳で世界ジュニア優勝。2002年リゾートトラストレディスで当時の最年少記録の12歳9か月で予選通過。08年、予選会をトップ通過でプロ転向。11年にフジサンケイクラシックでツアー初勝利。166センチ、53キロ。愛称「キンクミ」。

 ◆金田久美子の樋口久子・三菱電機レディス優勝 第1ラウンド(R)は2打差の4位発進。第2Rで67をたたき出し3打差単独首位に浮上。4バーディー、4ボギーの72、通算9アンダーで逃げ切った。17番のバーディーで勝負を決する形になったが、金田の中では7、14番がキーホール。「『びびるなよ』って20回は言った」という7番はグリーン右手前のバンカーから寄せてパーセーブ。14番では砲台の左に切られたピンの右1メートル半を攻めてバーディー。「打ったときに感動した。あ、こんなことできるようになったんだって」

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