◆米男子プロゴルフツアー 今季メジャー初戦 マスターズ 最終日(9日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC=7545ヤード、パー72)
【オーガスタ(米ジョージア州)11日=岩原正幸】男子ゴルフの海外メジャー今季初戦、マスターズで21年大会覇者の松山英樹(31)=LEXUS=は首や手首の痛みの影響もあり、優勝者と10打差の通算2アンダーの16位で終えた。パットのさえた第3ラウンド(R)後半に5位まで猛追し、見せ場はつくった。現地取材を通して、今季苦しむ日本のエースの現在地、今後のメジャー制覇への可能性などを探った。
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手負いで臨んだ10年連続12度目の夢舞台だったが、本気で頂点だけを目指していた。松山は優勝者に与えられるグリーンジャケットの2年ぶりの奪還を逃した。「いい状態で4日間プレーできていないのが悔しい。まずは体のメンテナンスをしたい」とオーガスタの緑の森を後にした。
米ツアー本格参戦10季目の節目。首の痛みに悩まされつつ今季2度のトップ10入りをしていたが、16年7月以来、約7年ぶりとなる出場2戦連続予選落ちや2度の棄権もあった。積算ポイントランクはプレーオフ(PO)最終戦進出圏外の54位だ。
今大会もショット、パットがかみ合わず16位。現地で取材した米ツアー1勝の今田竜二氏(46)は「(9年連続継続中の)ポイントランク30位以内に入れていない現状に納得はしていないだろう」と話してくれた。
マスターズの第1R後、首から肩にかけて飯田光輝トレーナー(46)のマッサージを受けた。そして、わずか30分弱で練習場を後にした。松山は人一倍の練習量でスイングを磨き上げ、自信を積み上げる。以前のメジャーでは納得するまで黙々と長時間居残っていたが「練習も制限なくできれば、ちょっとした距離感とか、パットの練習にもっと時間を費やせる」と、精度を高めきれない現状をもどかしそうに明かした。
この言葉に、昨年末のスポーツ報知のインタビューを思い出した。「体を良くしたら長く(現役を)続けられる。練習ができなくなると下手になる」―。世界を驚かせてきた、頭が微動だにしない力強いスイング。世界最高峰のツアーで、飛距離と精度を追い求めて毎年改造している。あくなき探究心が支えてきた。とはいえ、アジア勢最多に並ぶ米8勝を挙げた勤続疲労がないはずはない。昨年3月以降は、たびたび首痛に悩まされている。
視線は既に次に向いている。5月の全米プロ選手権(米ニューヨーク州オークヒルCC)など、最大目標のメジャーが毎月続き、8月には10季連続最終戦進出の偉業もかかるPOシリーズも控える。その前に一時帰国し、静養する予定。体の状態を整え、練習場で長時間打ち込む姿が再び見られれば、残りのメジャーでもV争いが見られるはずだ。