中島啓太、逆転で涙のプロ初優勝 2週連続2位を乗り越え“3週目の正直”…憧れの巨人・菅野智之と同日勝利も


優勝を決めた中島啓太(右)はキャディーと抱き合い感涙にむせぶ(カメラ・谷口 健二)

優勝を決めた中島啓太(右)はキャディーと抱き合い感涙にむせぶ(カメラ・谷口 健二)

◆男子プロゴルフツアー ASO飯塚チャレンジド 最終日(11日、福岡・麻生飯塚GC=6809ヤード、パー72)

 3打差2位から出た中島啓太(22)=フリー=が逆転で涙のプロ初優勝を飾った。1イーグル、6バーディー、1ボギーの65をマークし、通算29アンダーで並んだ前週優勝の金谷拓実(25)=Yogibo=とのプレーオフ2ホール目で、バーディーを奪い決着をつけた。アマチュア時代の2021年9月パナソニックオープン以来、通算2勝目。2週連続2位で迎えた今大会で、宿敵に競り勝ち“3週目の正直”を果たした。

 30センチのウィニングパットを構える前に、中島の目はもう潤んでいた。カップからボールを拾い上げると涙がこみ上げた。決着をつけて抱き合い、健闘をたたえ合った金谷からの「いいゴルフだったよ」の一言に、また泣いた。「金谷さんとバチバチに優勝争いをして、プレーオフで勝って。言葉じゃ表せないぐらいうれしい。楽しかった。もっと優勝争いをしていたい気持ちもあった」。憧れの人との一騎打ちを制してのプロ初勝利に、喜びに浸った。

 3打差を追って出た最終日、9番で初めて金谷を捉えた。「金谷さんの強さや怖さは僕が一番分かっている」。アマチュア時代から背中を追ってきた先輩に必死に食らいついた。1打リードで迎えた17番パー5でボギーを喫し、バーディーとした金谷にひっくり返されたが、18番で4メートルのバーディーパットをねじ込み追いついた。プレーオフは2ホール目、右ラフからの残り164ヤードの第2打を9アイアンでピンに絡めるスーパーショットで勝負を決した。

 大の野球好きで、巨人党。菅野智之投手の「大ファン」だ。昨年11月に共通の知人を介して会食する機会に恵まれた。その席で激励を込めて「優勝したら始球式に呼んであげるよ」と言われた言葉が、勝利へのモチベーションの一つになった。普段はポーカーフェースの22歳が「これで呼んでくれますかね」と少年のように目を輝かせた。「今日復帰登板ですよね」。優勝会見後にすぐに口にした。尊敬するアスリートと、同じ福岡の地でそろって「1勝」を挙げた。

 菅野に関するYouTube動画を見て、戦うメンタルを学んでいる。「集中力を100%に上げるためには常に100%じゃだめ。70%でやっておきながら、ギアを上げた時に120%まで持っていく」という言葉を肝に銘じて、プロとしてツアーを戦っている。海外志向が強い22歳だが、今季は最終戦の日本シリーズJTカップまで国内で戦う予定だ。「もっと優勝を狙いたい」。目線は世界へ。この優勝を足がかりに飛躍する。(高木 恵)

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