驚異のエージシューター田中菊雄の世界180 武藤一彦のコラム


 田中さんのエージシュートは6月5日、ついに前人未踏の1200回の大台に達した。同日、ホームコースのよみうりゴルフ倶楽部のインコースをスタートした田中さんは、前半41の好スコアをマーク、注目の後半のアウトコースはピンチもあったが、45にまとめ、計86ストローク、年齢の88歳を2ストローク上回るアンダーエージシュートの快挙となった。

 

 エージシュート記録、1200回の大台到達。すごいことである。
 エージシュート挑戦を6000ヤード以上の“白ティー”以上と決め、ノータッチ、グリーン上のパットは「オーケーなしの完全ホールアウト」と決めた“こだわりのラウンド”は日本エージシュート記録史上、前人未踏の快挙を次々と生んでいまや競技ゴルフの域(いき)、迫力がある。

 

 71歳で初エージシュートを記録して以来、77歳までに9回のエージシュートを達成した田中さん。78歳で年間16回、初の2ケタを記録。以来、年を重ねるごとにエージシュートは急増、83歳時には初めて100回越えの年間125回、86歳時には246回と最多年間記録と次々に記録更新。その存在は迫力満点だ。

 

 だが、好事魔多し。87歳時の昨年は、さらに調子を上げこの記録をうわまわるか、と期待した矢先、田中さんが暮れに体調を崩し入院。エージシュートの成功率は激減したことは既報の通り。だが、そんなことがありながらエージシュートは87歳時、178回を記録、83歳時からの年間3ケタ記録を5年連続維持したのは、入院以前の好調ぶりがあったからで今思うと奇跡的なことだったのだ。

 

 今回の1200回到達である。驚異のエージシュート人生を飾るにふさわしい快挙は、コーチである女子プロの浪崎由里子プロ夫妻らとのラウンドで出したものだった。浪崎プロは2006年プロ入りの日本女子プロゴルフ協会78期生。高校時代に豪州留学、帰国してプロ入りしたベテラン。こんな出会いがあった。当時、38歳のプロと80歳のエージシューターは7年前のあるゴルフコース。プロアマ大会の練習場で知り合い、以来、プロは田中さんの専属コーチを務める。技術面での田中さんの信頼は厚く、大変な信頼ぶり、エージシューターチャレンジ協会の会長である田中さんの技術的バックボーンとしてその信頼は厚い。「いいゴルフができた。名コーチがあって、今がある。由里子ちゃんとはもう10年近いお付き合い。名コーチにいい結果を見せることができてよかった」と感謝する名人の声が弾んだ。この純粋さ、衰えを感じさせない若さがエージシュートを支えている。コーチの技術、田中評などは次回。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。88歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。