◆報知新聞社後援 男子プロゴルフツアー 今季メジャー第2戦 日本プロ選手権 最終日(30日、北海道・恵庭CC=7441ヤード、パー72)
1打差首位で出た平田憲聖(22)=エレコム=が5バーディー、4ボギーの71で回り、通算11アンダーでメジャー初制覇を飾った。初日からトップを譲らない完全優勝でツアー2勝目。前週の全英オープン予選落ちの悔しさを払しょくした。22歳246日での優勝は、大会最年少(1973年ツアー制施行後)となった。蝉川泰果(22)=フリー=、金谷拓実(25)=Yogibo=が2打差2位。
自然と母・勝美(まさみ)さん(55)へと足が向いた。平田は18番でボギーパットを沈め、初の国内メジャータイトルを獲得。グリーン脇で見守った母と抱擁を交わし、喜びを分かち合った。「今年2勝目をメジャーで挙げられてうれしい。重要な大会なので勝ちたいと思っていた」。かみ締めるように明かした。
1番でバーディー発進したが、6、7、9番でパットが乱れ、ボギーをたたいた。2打差3位まで後退した。メジャーで初めての最終日最終組。緊張の自覚はなかったというが、得意なはずのグリーンで苦しんだ。13番後、ボードを確認すると「中島(啓太)選手、蝉川選手が上位に上がってきているのを見て、このまま負けるのはすごく悔しい」。同じミレニアム世代(2000年度生まれ)の意地が、攻める気持ちにつながった。
14番で15メートルのバーディーパットを沈めると首位に並び、こん身のガッツポーズ。15、17番も伸ばし、3差に広げた。5月のミズノオープンに続く2勝目で、73年以降では最年少となる22歳246日での日本プロ覇者になった。しかも初日から首位を守っての完全Vで、5年シードを獲得した。
前週は全英オープンに参戦。初の海外メジャーは、2日間14オーバーでリンクスに屈した。英国まで応援に駆けつけた母と姉・璃乃(りの)さん(26)が「声もかけられないくらい放心状態だった」と口をそろえた。平田も「イメージできないようなショット、パットが要求される」と世界との差にがく然とした。心配をかけた家族へ、恩返しのVでもあった。
全英後には高熱で寝込み、万全ではなかったが「欠場は考えなかった」という。「悔しい経験をしてボロボロになったけど、引きずっているようでは全英に行った意味がない」。大学3年でプロ転向した時も迷わなかったように、芯の強さが持ち味。「またすぐ勝てるように。将来は自分のプレーでギャラリーを増やしたい」。平田が信念を持って突き進む。(岩原 正幸)
◆平田 憲聖(ひらた・けんせい)アラカルト
▽生まれとサイズ 2000年11月26日、大阪・吹田市生まれ。22歳。170センチ、70キロ
▽ゴルフ歴 祖父の影響で7歳からクラブを握り、12歳で本格的に始める。大阪学院大3年時の21年、日本学生選手権で優勝。同年12月にプロ転向。昨年は賞金ランク58位でシード獲得。今年5月のミズノオープンで初優勝
▽愛犬が癒やし 実家暮らしで、ミニチュアシュナウザー2匹(名前は「ププ」と「ビビ」)と遊ぶのがリラックスになっている
▽この大会の思い出 約10年前にエスコートキッズを務め、プラヤド・マークセン(タイ)と手をつないで写真を撮った。「緊張してロープの中を歩いて楽しかった」
▽練習グリーンではイヤホンで音楽 全英オープンで海外選手を見て、まねたという。ヒップホップ系などを聴く
▽得意クラブ サンドウェッジ
▽家族 両親と姉