驚異のエージシューター田中菊雄の世界186 武藤一彦のコラム-完全復活秋の陣へ


 田中さんのエージシュートは8月30日現在、1246回に達した。既報のとおり、6月6日、胃のポリープを除去する手術で11日間入院、その後,一週間自宅療養。入院前、1201回だったエージシュートは、1か月後の7月5日、コースに復帰し7月は15回、さらに8月に入ると27回の荒稼ぎで計1246回の大台である。

 

 だが、このことは、“病気が嘘のような見事なカムバック劇”などと喜んではいられないことはすでに前回触れた。8月は猛暑の中、29日間ラウンドし、27回をエージシュートというと、だれもが驚く快挙のようだが、今年の関東地方は6月に梅雨もなく7,8月と連日、猛暑続き。筆者は気が気ではなかった。

 

 田中さんには、僭越(せんえつ)ながら「そんな無茶をしてとんでもないことです!」と声を荒げたことである。だが、さらりとかわされた。当人は病後も暑さもなんの障害にもなっていないのだ、とこんなことを言う。
 「夏は例年調子がいい。胃のポリープもドクターのおかげで5時間半の手術で取れてすっきり。体調良し、ゴルフも悪くない、私は本当に運のよい男です」いつもの感謝の言葉が口をつくのだった。

 

 8月1日、86で1120回、2日、3日と年齢と同じ88で1122回。4日は45,46の91で失敗したが、8月の失敗はこの1回限り。5日から15日まではエージシューターは11日間連続して1233回の大台へ。スコアは80から85前後と安定していた。16日は休む余裕もとれた。おかげでリフレッシュでき、17日から8日間、スコアは79から悪くても85と、エージシュートは1241回までさらに伸びた。25日、コースに出たが昼食後雨が強くなりハーフでプレー中止。調子がよく残念だったが、この休みがプラスになったか、さらに26日から30日まで5連続のエージシュート。回数は1246回ときく伸長した。31日は病院で定期検査すると「まったく問題なし」とドクターは太鼓判。田中さんは病気もエージシュートもまったく問題なく真夏を乗り切ったのだった。
 8月、猛暑の中、月間29の最多のラウンド、27回月間エージシュートの大収穫。19年間のそのエージシューター人生で大きな収穫を挙げ病気全快を自ら祝って「私はほんとに運のいい男です」と夏に笑う姿はすがすがしかった。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。88歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。