イ・ボミとコンビで17勝・清水キャディーが秘話語る 熱心さが持ち前「プレー中の笑顔、楽しむ姿勢の先駆け」


練習ラウンド16番、清水重憲キャディー(左から2人目)らスタッフと記念写真におさまるイ・ボミ(中)(カメラ・馬場 秀則)

練習ラウンド16番、清水重憲キャディー(左から2人目)らスタッフと記念写真におさまるイ・ボミ(中)(カメラ・馬場 秀則)

 19日に開幕する女子プロゴルフツアー「NOBUTA GROUPマスターズGCレディース」(兵庫・マスターズGC、6495ヤード、パー72)を最後に日本ツアーから引退する2015、16年賞金女王で、通算21勝の韓国出身、イ・ボミ(35)=延田グループ=が17日、試合会場で会見。ファンへの感謝など日本への思いを、トレードマークの笑顔とともに語った。予選ラウンドは小祝さくら(25)=ニトリ=、上田桃子(37)=ZOZO=と同組に入った。イ・ボミの日本ラスト試合でタッグを組む清水重憲キャディー(49)がスポーツ報知の取材に応じ、黄金期を支え、間近で感じたすごみ、人柄、ボミが流した苦悩の涙など秘話を明かした。

 12年のマスターズGCで初コンビを組み、13年から主戦となって17勝をサポート。最も印象に残る試合は初勝利の13年日本女子プロ選手権だ。当時は開幕時から不調で「毎日10分アプローチをやろう」と提案。熱心さゆえに30分になることもあり、プレーオフで発揮した見事な寄せがVをもたらした。リカバリー率は12年(約63%、24位)から16年(約73%、1位)にかけて向上し、韓国に比べて小さい日本のグリーンに適応した。

 当初は観客の拍手はまばらで清水氏は「アウェー感も感じた」というが、14年以降は常時100人以上がボミに付いた。「ファンの方の出身地や名前を覚えている姿に驚いた。“銀座のママ”かってくらい。それを計算してやる感じでもない」。13年夏からはボミの母ファジャさん、マネジャー、トレーナーと行動を共にした。「今の(選手の)ようにチームで戦う意識をツアーに浸透させた」と力説。練習Rは最終日の優勝争いを想定し、大会2日前の午後にイン(10番から)9ホール回る。朝は車内で母手作りのキンパ(韓国のり巻き)、毎週金曜夜はゲン担ぎでうなぎを食べた。15、16年で計12勝を挙げ、連続賞金女王と黄金期を築いた。

 だが、17年は成績が低迷し、1勝止まり。「トップで居続けることに疲れてしまったようだ」。5月に奈良の会場から一時帰国のため関西空港へ送る帰り道。「その頃は(ボミは)毎日涙していた。もう帰ってこないのではと心配した」。18年夏、マネジャーを通じて“黄金タッグ”の終わりを告げられた。「ショックだったが、仕方ない。彼女なりに私に気を使ってくれたのでしょう」。清水氏もプロであり、決断を正面から受け止めた。

 キャディー歴27年目で清水氏が積み重ねた勝利数は「40」。「今があるのもボミプロのおかげです」と感謝の思いは尽きない。今でこそ当たり前となった「プレー中の笑顔、楽しむという姿勢の先駆けでもあった」と語る。引退試合でキャディーをすることは、実は5年前からの約束だったという。ボミが残した功績をこれからも下の世代に伝えていく。(岩原 正幸)

 ◆清水 重憲(しみず・しげのり)1974年7月10日、大阪・八尾市生まれ。49歳。近大付高時代は野球部。近大でゴルフ部に所属し、卒業後の97年からキャディー。98年に田中秀道と初優勝し、その後は谷口徹、上田桃子らをサポート。イ・ボミのエースキャディーを務めた後は蝉川泰果らと優勝し、国内最多の男女ツアー通算40勝。

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