
最終18番、ウィニングパットを沈め、地元でツアー初優勝を決めた内田(カメラ・山崎 賢人)
◆女子プロゴルフツアー ミネベアミツミレディス 最終日(13日、北海道・真駒内CC空沼C=6688ヤード、パー72)
北海道出身の内田ことこ(22)=加賀電子=が初日からの首位を守り抜く完全優勝で涙のツアー初勝利を飾った。6バーディー、3ボギーの69で回り、通算16アンダー。後続に6打差をつける圧勝劇を地元で見せた。本名の「琴子」から「ことこ」に変更し選手登録。冬場は南幌(なんぽろ)町のキャベツ畑の納屋でクラブを振り続けた少女が、プロ5年目で悲願の1勝にたどり着いた。女子ツアーは今季17試合を終え、初優勝は6人目となった。
歓声が、北の大地にこだました。2位に5打差をつけて迎えた18番。内田の6メートルのバーディーパットはカップ左から吸い込まれた。圧勝劇の美しいフィナーレ。北海学園札幌高の先輩の政田夢乃らに祝福されると、涙がこみあげた。「地元で初優勝ができて本当にうれしい。いつも一緒に練習している選手たちが待ってくれていた。その人たちの顔を見るとうれしくて涙が出た」。プロ5年目の歓喜をかみしめた。
1番でグリーン左奥からチップインバーディーを奪い波に乗った。3打リードで前半を折り返すと、後半はさらにその差を広げていった。「ボードは見ないようにした」。直近4試合でトップ10入りが2度。「ショットの調子はずっといい。コースに出ると考えすぎてミスが出ていた。今週は考えすぎないことを意識した」。コースから車で1時間の実家から通い、オンとオフのメリハリもつけた。
幼稚園時代、ゴルフ好きの父・崇広さん(55)からおもちゃのクラブを与えられた。「ジュース買ってあげる」と練習場に連れて行かれるうちに、のめり込んでいった。南幌町でキャベツ農家を営んでいる母・洋子さん(50)の実家の納屋に、崇広さんが練習場を作成。冬場はそこでひたすら球を打ち、雪国のハンデを克服した。今でも年末年始に帰省した際に、こもって素振りを�\xB0り返す。
高校3年時にコロナ禍でプロテストが延期になったことを受け、21年の年明けに栃木・東松苑GCに練習場所を移したことがあった。来場していた男子ツアー48勝の中嶋常幸に「一緒に回るか?」と声をかけてもらったことが転機になった。「ショートゲームの引き出しが増えた」と感謝する。「また来週からツアーは続く。複数回優勝を目指して頑張りたい」。明愛、千怜の岩井姉妹、佐久間朱莉ら同学年の背中を追い、勝利を積み重ねる。(高木 恵)
◆内田 ことこ(うちだ・ことこ)アラカルト
▼生まれ 2002年10月4日、北海道・南幌町生まれ。22歳。南幌町の魅力は「のどかでご飯もおいしくて、静かなところが好き」
▼学校 北海学園札幌高卒
▼ゴルフ 父の影響で6歳から始める。21年6月にプロテスト合格
▼改名 同姓同名の先輩プロがいたため、登録名を本名の「琴子」から平仮名にした
▼性格 「サバサバしている」とよく言われる
▼趣味 ショッピング
▼スポーツ歴 スキー ▼サイズ 159センチ、55キロ
▼家族 両親、妹・楓子さん(16)は北海学園札幌高2年でゴルフ部