菅沼菜々が2勝目 キャピキャピ系“自称アイドル”「ボミさん引退後の日本ツアーを盛り上げられるように」


優勝した菅沼菜々(中)と記念写真に納まるキム・ハヌルさん(左)とイ・ボミ(カメラ・馬場 秀則)

優勝した菅沼菜々(中)と記念写真に納まるキム・ハヌルさん(左)とイ・ボミ(カメラ・馬場 秀則)

◆女子プロゴルフツアー ▽NOBUTA GROUPマスターズGCレディース 最終日(22日、兵庫・マスターズGC=6495ヤード、パー72)

 首位から出た菅沼菜々(23)=あいおいニッセイ同和損保=が3バーディー、1ボギーの70をマーク。通算14アンダーで、8月のNEC軽井沢72以来の通算2勝目を飾った。イ・ボミ(35)=韓国=の日本ツアー引退試合を制した“自称アイドル”は、歌を歌いながら最終日最終組の重圧をはねのけて、人気実力を兼ね備えたツアーの主役へと名乗りを上げた。3打差2位で終えた山下美夢有(みゆう、22)=加賀電子=は、史上最年少で生涯獲得賞金5億円を突破した。

 最終18番。グリーンに上がった菅沼は思った。「ギャラリーの方たちはみんな私を見ているんだ」。1・2メートルのウィニングパットを沈め「17番でボギー打って悔しかったけど、そこまでの内容は良かったし、最後は『うれしい~!』って感じです」。グリーン脇で2日前に日本最後のラウンドを終えたボミのように、23歳は笑顔で両手を掲げた。

歌ってゴルフ 前々週のツアーは体調不良で途中棄権、前週は予選落ち。久しぶりの上位争いだったが、1勝した経験が心に余裕を持たせた。とはいえ、第2ラウンドから追い掛けられる立場にプレッシャーはあり「周りに聞こえないくらいに歌っていました。キャディーさんにも覚えてもらって一緒に」。大好きな乃木坂46の最新曲「おひとりさま天国」を口ずさんだ。“ゆっくり自分のペースでエンジョイしよう”の歌詞通り「自分が伸びていけば優勝できる、と周りを気にせずにプレーができた」と胸を張った。

 笑顔の裏で、不安障害の一つ「広場恐怖症」を抱える。飛行機や新幹線など、特定の場所や空間で強い恐怖や不安を感じ、日常生活に支障をきたす病と向き合い6年。苦労を感じさせない底抜けな明るさで、この日は多くのギャラリーが作った花道を笑顔で歩いた。

 観客席で見守ったボミから「おめでとう」と声をかけられた。「自称を付ければ炎上しないと思って」と“自称アイドル”を公言し、「清楚系よりはキャピキャピ系でやっているので、明るく元気なところを見てほしい。ハート(のポーズ)はけっこうバズったので、それに近いものを研究中」と笑った。「次はメジャー優勝を目標に。ボミさんが引退した後の日本ツアーを盛り上げられるように頑張りたい」とうなずいた。人気実力を兼ね備えた“スマイル・キャンディ”の日本最後の大会で、23歳のアイドルがツアーの主役へのバトンを受け継いだ。(瀬川 楓花)

 ◆菅沼 菜々(すがぬま・なな)2000年2月10日、東京都生まれ。23歳。父の影響で5歳からゴルフを始める。埼玉栄卒業後、18年プロテストで一発合格。初のシード選手として臨んだ22年は、トップ10入り15回、最高成績は2度の2位。今年8月の「NEC軽井沢72」で初勝利。身長158センチ。

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