史上初めてジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇し「ゴルフ天才少女」と呼ばれる須藤弥勒(12)=ゴルフ5/太陽自動車=が31日、岡山・井原市の岡山西GCで行われたプロパッティングツアーに出場し、第6戦で22人中2位、第7戦で20人5位となった。30日に同GCで開催された第5戦は22人中6位だった。男子下部ツアーで優勝経験がある前川太治(46)=大岡GC=らが参戦する中、第7戦終了時点でポイントランク首位に浮上した。それでも、弥勒は「今回の3戦の中で優勝するチャンスがあった。まだまだです」と満足することなく話した。
弥勒はパットの技術を磨くため、2021年からプロパッティングツアーに参戦している。プロパッティングツアーは、その名の通り、パットだけのグリーン上の勝負。約2メートル~約20メートルの距離で18ホールが設定され、パー36の予選ラウンドを行う。上位6人(首位と2打差以内)が予選ラウンドの成績を持ち越して3ホールの決勝ラウンドで最終順位を決める。3月9日に茨城・常陸太田市の金砂郷CCで行われた同ツアー開幕戦で優勝し、通算3勝目を挙げるなど、弥勒のパット技術は年々、向上している。
今大会には髪を緑色に染めたド派手な格好で出場した。父・憲一さん、母・みゆきさんと「プロパッティングツアーで優勝したら、2週間の春休みの限定で好きな色に髪を染めてもいい」と約束。初戦で勝ったことで、緑髪と、最近、試している眼鏡と合わせて大胆な変身が実現した。「一度、髪の毛を染めてみたかった。私はゴルフが大好きなので、ゴルフ色のグリーンにしました」と弥勒は満面の笑みを見せた。
第5戦の決勝ラウンド、第7戦の予選ラウンドでは勝負をかけたホールで痛恨のOBで5パットを喫するなど課題も残った。「こんなことをしていたらレギュラーツアーでは戦えません」と厳しい表情で反省することも忘れなかった。
今年の8月6日に13歳となる弥勒は、日本女子プロゴルフツアーが定める出場可能な年齢に達する。8月以降にレギュラーツアーデビューが予定されている。「私の今の飛距離では長いパー4では、どうしてもパーオンできません。その時はアプローチで寄せて、1パットのパーで耐えなければいけない。パットが命綱になるのに、今のままではダメです」と冷静に現状を説明した。
「レギュラーツアーのデビュー戦まで半年を切りました。飛距離を伸ばしながら、パットの精度をもっと上げていきたい」。晴れ舞台に向けて、得意のパットをさらに磨きをかけることを誓った。
3月31日が小学生最後の日。4月5日には中学校の入学式に臨む。「入学式までには髪を黒に戻します。本当は緑色がいいけど」と笑った。
14社・団体と推定総額3億6000万円以上のスポンサー契約を結んだ12歳のアマチュアゴルファーは、文字通り「異色」の挑戦を続ける。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。12歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導を受ける。17年に大会史上最年少で世界ジュニアに優勝。18年も連覇した。19年にマレーシア世界選手権、21年にキッズ世界選手権、22年6月にジュニア欧州選手権優勝し、ジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇。22年8月に横峯良郎氏に弟子入り。22年1月からアマチュアも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったことで、ダブル所属契約のゴルフ5と太陽自動車をはじめ14社・団体と推定総額3億6000万円以上のスポンサー契約を締結。家族は父、元フィギュアスケート選手でピアニストの母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。150センチ、50キロ。