◆米女子プロゴルフツアー メジャー第3戦 全米女子プロ選手権 最終日(23日、米ワシントン州サハリーCC=6731ヤード、パー72)
2位から出た山下美夢有(みゆう、22)=加賀電子=が3バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの73で回り、通算4アンダーでメジャー自己最高の2位に入った。大会前の世界ランクで日本勢4番手だったが、ポイントを大きく加算し、19位だった古江彩佳(24)と、予選落ちした畑岡奈紗(25)を抜き、パリ五輪の出場権を手にした。笹生優花(23)は全米女子オープンで優勝し、既に1番手が確実となっていた。34歳の梁煕英(ヤン・ヒヨン、韓国)が72で逃げ切り、7アンダーでメジャー初優勝。
日本女子4人目のメジャー制覇はならなかったが、メジャー7度目出場の山下は堂々の自己最高2位で終えた。前回の東京五輪から3年。笹生に続く2枚目のパリ五輪切符を手にしたのは22、23年の日本ツアー年間女王だった。
多くのギャラリーが見守る中、首位と2打差から最終日最終組でのプレー。「緊張した」という大舞台で8番でダブルボギーをたたいた。だが、その後は持ち前の粘り強さを見せ、18番で2・5メートルのバーディーパットを沈めた。既にホールアウトしていた渋野日向子(25)の出迎えにうれしそうな表情を浮かべた。
「すごく楽しくプレーできた。ショットはだいぶ安定しているので自信になった」と胸を張った。大会後に決着する五輪代表争いへ、世界ランクで圏外の国内4番手で今週を迎えた。2月の祝賀会では「(ランク)15位以内に入りたい」とパリ五輪出場を宣言したが、「(5大)メジャーで良い成績を出したい」という思いの方が強かった。昨年からの目標を実践したことで土壇場で自身初の五輪切符を引き寄せた。
ピンを狙って寄せて、パット勝負の色合いが濃い日本ツアーと異なり、海外メジャーでは綿密なマネジメントとショット力が求められる。フェアウェーが狭い林間コースを見事に攻略。22年全英でのメジャー初出場から成長ぶりを見せ、70万ドル超(約1億1000万円)の高額賞金もつかんだ。渡米前にはパリについて「オシャレなイメージ」と無邪気に話したが、「しっかり日本代表として頑張りたい」と表情を引き締めた。
頂点には3打及ばず。「(同組で梁の)優勝を見て、私自身もっともっと上位で戦えるようにこれからも頑張りたい」と決意を新たにした。次戦はエビアン選手権(7月11日開幕、フランス)。メジャー制覇までの距離を「まだまだとは思わない」と自信も深めた。ともに21世紀(01年)生まれの笹生と挑むパリ五輪で、21年東京五輪の稲見萌寧に続くメダル獲得に挑む。
◆美夢有に聞く
―目標としていた5大メジャーで自己最高の2位。
「今週はショットが安定していた。ショートゲームでもリカバリーできた。難しいピン位置に切ってあったが、うまくコースマネジメントしてプレーできた」
―17番は第1打が手前から転がり、カップをかすめてあと一歩でホールインワン。
「あの距離(約2メートルオーバー)は入れたかったが、外れてしまった」
―難しいコースでショット精度の高さは自信に?
「手応えはあるが、パター、アプローチの技術が足りないと感じたので練習したい。まだまだ試合も続くので、結果を出せるように」
◆山下 美夢有(やました・みゆう)アラカルト
▼生まれとサイズ 2001年8月2日、大阪・寝屋川市生まれ。22歳。150センチ、52キロ
▼ゴルフ歴 5歳から父・勝臣(まさおみ)さんの影響で始める。大阪桐蔭高3年時の19年に全国高校選手権優勝。同年11月、プロテストに合格
▼ツアー歴 21年4月のKKT杯バンテリンレディスで初優勝。22年は21歳103日で、1988年ツアー制施行後の最年少で女王に輝く。23年も2年連続で年間女王獲得。通算11勝(うち国内メジャー3勝)
▼スポーツ歴 3歳からフィギュアスケートとクラシックバレエ
▼名前の由来 母・有貴さんの一字をとり「美しい夢が有りますように」との思いから
▼家族構成 両親と弟、妹
▼好物 肉
▼趣味 カラオケ