
プロアマ戦に臨んだ石川遼(カメラ・渡辺 了文)
男子プロゴルフツアーの今季国内開幕戦、東建ホームメイトカップは10日から4日間、三重・東建多度CC名古屋(7069ヤード、パー71)で行われる。ツアー20勝の石川遼(33)=カシオ=は9日、1973年のツアー制施行後、最長ブランクとなる2009年以来、16年ぶり2度目の「賞金王」を目標に掲げた。2年ぶりに投入する60度ウェッジを武器に、グリーン周りを攻略して、開幕戦でスタートダッシュを決める。
春の日差しを浴びながら石川は、プロアマ戦などで最終調整した。08年にプロデビューした思い出のコースを回る表情からは、自信が満ちあふれていた。「一番上(の目標)は賞金王。全部勝ちたいし、気持ちとして、めちゃくちゃ強い」。ツアー史上最大ブランクとなる09年以来、16年ぶりの戴冠(たいかん)に照準を合わせ、開幕戦を迎えた。
頂点に立つため、2年ぶりに60度ウェッジをバッグに入れた。昨季のウェッジで、ロフト角が最も大きかったのは58度だったが、今季は60度にした。「これまでは転がすことが多く、低めの球でスピンをかけていた。(ピンからグリーンエッジまでの距離が短い)ショートサイドからアプローチは(技術的に)難しいことをしないと58度では止められない」と説明。転がり過ぎてピンを越える可能性のある58度より、フェースが上を向き、ボールが高く上がって止めやすい60度を選んだ。
2年前のグリーン周りは“二刀流”だった。アプローチで転がす場合は56度、高く上げる時は60度と使い分けていた。だが、「頭がパンクした。状況によって決めなきゃいけなく、痛い目に遭った」と昨季は58度一本に。今季は「3か月オフがあったので、ベターな方で極めたかった」と60度を徹底的に磨いた。「思ったところに、思った球が落とせるようになった」と手応え十分で新シーズンに入った。
今大会は5年連続11度目の出場。プロ初戦の08年に5位など、トップ10入り5回と相性は良い。「やるべきことはやったというオフは過ごせた。練習でやっていることを、やり切ったと思えるようなスタートを切りたい」。昨季の賞金王・金谷拓実は米ツアー、2位の平田憲聖は米下部ツアーに参戦し、国内は混戦模様。昨季2勝、33歳の石川が賞金王に向け、開幕戦から突っ走る。(富張 萌黄)
【岩田寛】 昨季2勝の44歳は今大会40位以内なら、生涯獲得賞金ランク25位以内に浮上する。仮にシードを落とした場合でも、翌年の出場権を確保できる指標となるが「もし(40位以内に)入っても(順位が低ければ)25位で、またすぐに抜かれちゃう。努力を積み重ねて、今まで通りやりたい」と通過点だと強調。2~3月はケニア、マカオで海外ツアーに参戦。今季の目標には「優勝争いをして、まずは1勝」と5年連続Vに挑む。
◆クラブのロフト角 ロフト角はクラブのフェースが地面に対して、どれだけ傾いているかを示す角度。小さくなればなるほど打ち出しは低く、スピン量が少なくなり、飛距離が出やすい。ロフト角が大きいとフェースが上を向いているため、打ち出しが高くなり、スピン量が増えてバックスピンもかかりやすい。そのため、グリーンに止まりやすい。ドライバーは8~10・5度。43度以上はウェッジに分類される。