
中嶋常幸
女子ゴルフで、国内男子ツアー通算48勝を誇る中嶋常幸(70)の門下生が存在感を放っている。プロ1年目の中村心(19)=ヤマエグループHD=がその一人で、4月の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで2位に入るなどパワフルなショットを武器に、今季のルーキー一番乗りの初優勝を狙う。同最多94勝・尾崎将司(78)の“ジャンボ門下生”から優勝者が続々と出る中、中嶋が主宰する「トミーアカデミー」出身の新鋭が旋風を巻き起こしそうだ。(取材・構成=星野 浩司)
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ジャンボとトミー。青木功と並ぶ「AON」として一時代を築いたレジェンドがジュニア育成に励むが、そのスタイルは異なる。
尾崎は18年にアカデミーを設立。セレクションに合格した門下生は千葉市のジャンボ邸に通い、尾崎やコーチの指導を受ける。タイヤ引きや羽根付きの素振り棒を振り体力を鍛え、約300ヤードの専用練習場でショット技術を磨く。選手がプロ転向して自立した後は「勝ちにこだわれ」とゲキを飛ばすなど、細かい指導よりも見守る印象だ。
12年に始まった中嶋のアカデミーは茨城・静ヒルズCCなどで年3~4回、2泊3日の合宿で練習する。松山英樹のトレーナーを務めてきた飯田光輝氏がトレーニングを指導。中嶋は「こう振った方がいい。理由はこうだよ」と投げかけるなど、選手の長所を伸ばす成長を促す。昨年プロテストは中村ら門下生7人が合格。プロ転向した教え子の悩みにLINEで相談に乗り、激励するなど寄り添い続けている。